杉田劇場(中村牧館長)と世界的に活躍するベルリン・フィルハーモニー弦楽五重奏団が10月12日、同劇場で東日本大震災支援コンサートを行った。コンサートの売上は全額、被災地の宮城県気仙沼市で進んでいる、子どもと文化のための集会所建設計画に寄付される。
ベルリン・フィルハーモニーの首席奏者らで結成された弦楽五重奏団。同団による日本ツアーが今秋、杉田劇場を含む7ヵ所で予定されていた。その打ち合わせの際、メンバーから杉田劇場に対し「被災地のために何かできることないか」と提案があったという。
その後、両者で協議が行われ、10月12日夜に実施されるコンサート前に、もう1公演追加することが決まった。この公演では、出演者は無償で演奏。チケットの売上は全額、被災地に寄付される。公演当日は、会場に募金箱も設置。チケット売上と合わせ、56万1973円が集まった。
文化施設建設に協力
杉田劇場では、義援金の寄付先について検討。杉田地区の商店街や磯子で活動する音楽家・篠崎洋子さんが支援している縁から、気仙沼市に職員を派遣し、聞き取り調査を行った。
その話の中で、同市南町地区が現在、コミュニティ拠点「cadocco(カドッコ)」の建設計画を進めていることを知ったという。
この拠点は津波や避難所生活でバラバラになってしまった地域や子どもたちのつながり復活を目的にしたもの。集会所のほか、地域文化団体の練習場や子どもたちが気軽に使える遊び場、文化芸術の発信場所といった機能も併せ持つ。
劇場では、ベルリンフィルメンバーにカドッコの取り組みと支援を説明し、賛同を得た。同団メンバーの1人で、ヴィオラ奏者のヴォルフガング・ターリツさんは「ベルリンと日本は遠く、支援したくても被災地の状況が分からない。こうして僕らと被災地をつないでくれたことに感謝する」と、コメントした。
劇場担当者は「こども、地域、文化という点で、カドッコと杉田劇場は共通点が多い。文化を通じて集まった支援が文化施設建設に役立てられるのは、素晴らしい」と話した。
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