全国でいじめ問題が次々と明るみに出る中、横浜市の小中学校で2010年度に認知されたいじめは2100件。いじめられる子どもを救おうと、行政や民間の機関や団体が相談に応じるサービスを提供している。
市教育委員会によると、2010年度に市内の小中学校で認知されたいじめの件数は2100件。前年度から約1・8倍、特に小学校では約2・3倍と大幅に増加した。市教委はこの要因をいじめの早期発見、早期解決を目的に実施された「いじめ解決一斉キャンペーン」により、教職員の人権意識の向上が図られたことによるものだと説明する。
いじめの悩みに対応しようと、市教育委員会の教育総合相談センターは、いじめに特化した電話相談「いじめ110番」を設置。専門員が365日24時間体制で相談を受ける。市内の児童生徒には連絡先を記した名刺大のカードを配布、学校や区役所にも案内を掲示して周知に努める。区別の相談件数は公表していないが、市全体では昨年度に2257件、うち260件がいじめに関するものだった。
相談で深刻化防ぐ
一方、民間でも相談を受け付ける団体がある。港南区在住の山本正治さん(62)は、自身の子どもがいじめにあっていたことなどを機に、「いじめと人権110番」を設立。無料電話相談などにより、個人で年間約15件の問題に取り組んでいる。
そんな中、「いじめにあっている子ども達が早くその事実を周囲に発信すれば、深刻化が防げる」としながらも、自身の誇りを守りたい気持ちや告げ口による仕返しを恐れて周囲に言い出せない子どもの姿を目にしてきた。その上で、「学校の先生がいち早く気付いて対処するのが一番だが、親も学校まかせではいけない」と指摘。「もっと学校や子育てに関わり、帰宅する子どもの表情を観察してほしい」と訴える。
親の過保護や過干渉という側面には、「親が子どもを守らず誰が守るのか。親まで仕返しを恐れては、子どもは余計に落ち込む」と主張。「何かあればまずは学校に相談すべきだし、子どもも親に守られている安心を得られる」。いじめを受けている子どもには、「話を聞いてくれる人は必ずいる。1人で悩まず、勇気をもって発信して」と訴えた。
一方、滋賀県大津市の中学生がいじめとみられる問題から自殺した件について、「表に出ていないだけで、いじめはどこでも起きていること」として、「相談を受ける我々も存在をアピールしていかなければ」と危機感を募らせていた。
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