「横浜ポルタ」入口のガラスオブジェを制作した 野口 真里さん 港南在住
見たことのない美しさを求めて
○…このほどリニューアルした横浜駅東口の「横浜ポルタ」で、入口の大きなガラスのオブジェ「横濱三塔物語」などを制作した。プロジェクトが始まったのはちょうど東日本大震災の直後。「日本全体が暗いムードに包まれるなかで、美しいものを作って皆さんに元気になってほしかった。ハマっ子の1人として、横浜の玄関口のこの場所に横浜を象徴するものを飾ることで、街を愛する気持ちをより強くしてもらえたら」
○…制作には墓石の文字を刻むサンドブラスト・エッチングという圧縮した空気で砂を吹き付ける技法を用いる。「ガラスはその美しさの反面、壊れやすいというイメージで特に地震の多い日本では敬遠されがちな不運な素材なんです」。そのイメージを払しょくするため、作品をわざと割って飛散する様を検証することもある。「作品を作るたびに新たな課題が出てくる。大変だけど、それが新しい技術を生むきっかけになるし、逆に燃えるんです」といたずらっぽく笑う。
○…上大岡生まれ。小学生の時に父が港南の桜道の桜に見惚れて移り住んだ。
南台小、笹下中卒。東京造形大学を卒業後に父の工房を手伝い始めた。お互い気の強い性格が災いして家を出たこともあったが、努力が認められて2002年に工房を継いで「マリエンバード」を立ち上げた。「生まれ育った場所で作品を作れるのは嬉しい。みんな小さい頃から知っている人ばかりで、普段も近所のおばちゃんが工房でお茶飲んでたりするんです」。これまで「ザ・リッツ・カールトン東京」メーンロビーのガラスタワーやチャペルなど、学校や商業施設に数多くの作品を納入している。
○…「誰も見たことのない綺麗なものを作りたい」。これが制作の原点。建築と一体となったアーキテクチュア・グラスアートの魅力を広め、見る人に感動を与える作品づくりをめざし、ガラスの羽は世界を目指して飛び立っていく。
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