ファイヤー・カウントダウン2014の花火ショーで責任者を務める 下福史(つかさ)さん 東京都在住 40歳
一年で一番大切な一秒
○…みなとみらいの遊園地で開催される年越しイベント『ファイヤー・カウントダウン2014』。その責任者として、年越しの瞬間に始まる約1500発の花火打ち上げを指揮する。わずか5分の打ち上げ時間にかける準備期間は4カ月。「一秒でも遅れたら意味がない。一年でもっとも緊張する瞬間」。初開催から11年連続で務めるベテランでも、のしかかる重圧は大きい。
○…都内の花火ショー制作会社に勤務するサラリーマン。「何でもやるんです、小さな会社だから」。花火師に必要とされる火薬類取扱保安責任者の資格を保有し、全国各地に出向いては営業、企画、演出、運営から関係機関への申請まで、花火大会に関わる業務を一手にこなす。だが、専門は「機材技術管理」。近年打ち上げの主流となっているコンピューター制御について、現場で操作に携わるからこそ見える課題をもとに、より実用性の高いシステムづくりに取り組んでいる。
○…五穀豊穣を祈る神事やどんど焼き。「火はいつの時代も人を魅了し、そこに一体感を生み出す」――。高校生の頃、そんな火の魅力に気づかされた。大学卒業後に踏み入れた花火業界は、常に一発勝負の世界。成功の鍵は、いかに万全の準備で本番を迎えるかだ。打ち上げ前は関係者にピリピリした空気も漂うが、だからこそ分かち合う達成感は格別。現場で分からない観客の盛り上がりは、「あとでYou tube(動画サイト)でチェックします」
○…「毎年訪れるリピーターも増えた」と語る表情に安堵感はなく、「また足を運んでもらうためにも、演出などで見飽きない工夫が必要」。例年、大晦日は朝早く現場入りし、片づけを終えて帰宅するのは年明けの朝。長い一日を終え、ようやく正月気分に浸れるのはひと眠りしてからだ。「紅白歌合戦も見たいけれど、やっぱり現場にいたい」。入念なチェックを重ね、張りつめた緊張感のなかでその時を待つ。
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