NPO法人ジェントルハートプロジェクトの理事で、新著『遺書』を出版した 小森 美登里さん 日野在住 57歳
いじめは大人がなくす
○…1人娘の香澄さんをいじめによる自殺で亡くして16年。香澄さん本人の立場になって綴ったのが『遺書』だ。「ずっと前から出したかった。書くのに1日もかからなかった」。著書は5冊目だが、頁数は毎回減り続け、同書は60頁余り。「大人も子どもも最後まで読み切ってほしい」とあえて少なく、文章も口語にして読みやすくした。「本は私の失敗が基本になっている。繰り返さないために、親子をつなぐ道具として利用してほしい」
〇…香澄さんの死をきっかけに、夫の新一郎さんといじめ解決に向けた活動を始めた。2002年にはジェントルハートプロジェクトを設立。これまで全国各地で1000回を超える講演を行っている。「いじめは大人の力がなければ解決できない。子どもたちに任せて責任を押し付けるのは違う」と強調する。一方で「大人が対応や解決策を知らない。いじめへの対応スキルは勉強しなければ身に付かない」とも。大人が「正しい」と思い込んでいることに、勘違いや間違いが多いのだと繰り返す。
〇…法人名は香澄さんが亡くなる直前に遺した「優しいこころが一番大切だよ」という言葉から名付けた。その言葉から、いじめ解決の糸口には、いじめてしまう加害者の背景、心に優しく寄り添うことが不可欠だとも気付かされた。「想像力の欠如がいじめと差別を生む。自分がされて嫌なことは、他の子にはしちゃいけない。これを家庭内で分かち合えれば、いじめは絶対になくなるんです」
〇…年に1度、香澄さんの散骨をしたサイパン島の海を訪れる。「香澄に会えて嬉しいけれど、帰るときは淋しくて。『お母さん、また頑張るね』と香澄に約束する」。活動する中で、いじめが社会問題であることを知った。「要は究極の”親ばか”なの。香澄の死を絶対に無駄にはしない。私は趣味とか、そういう人生はもう要らない。子どもの命が最優先だから」
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