NPO法人「ひだまりの森」理事長として子育て期の相談を受ける 林 順子さん 日野南在住 55歳
人の持つ力信じて
○…年間で約1500件の電話相談を受ける。相談のテーマは「子育て」ではなく、あえて「子育て期」。悩みの主役は育児中の親自身だからだ。相談内容は育児疲れ、子どもの発達の不安、ママ友、夫、学齢期などさまざま。「話すときは『お母さん』ではなく『あなた』と呼ぶ。”私”を大切にして、何が一番辛いのかを明確にするんです」
○…長女に軽度の知的障害があったことが、活動の原点。「子どものマネジメントに徹するつもりだったけれど、私自身を大切にする時間もほしいと思った」。通信教育でカウンセリングの勉強を始め、最初は躊躇した仕事も、夫の一声と周囲のサポートで始めることに。そんな折、偶然見つけたのが横浜市乳幼児家庭教育センターの相談員募集のチラシ。子育ての相談を受ける業務に就いたのが活動の始まりだった。「娘の障害がなかったら、今の仕事に就いていなかったかも」とほほ笑む。「私は恵まれていたけれど、子どもの障害を受け入れられず苦しんでいる人もいる。支え合い、受容できる場が必要」と経験から実感する。
○…乳幼児家庭教育センターの相談員の中で子育て経験を持つ有志が集まり、親子遊びなどのボランティアを開始したことがきっかけで06年にメンバー4人でNPO法人「ひだまりの森」を設立。市男女共同参画推進協会から受託する形で「子育て期の相談事業」を始めた。10年からは独立して相談室を設け、週4日無料の電話相談を受ける。専門相談、子育て支援者向けの講座も開催するなど、活動範囲は幅広い。
○…相談の目標は解決ではない。「私たちが強制するのではなく、親の力で前に進む。決断した瞬間は鳥肌が立つこともある。『助けたい』なんておこがましい。むしろ『教えてもらって、ありがとう』と思う」。この活動経験で、自身の子どもを客観的に見る目も養った。人の持つ力を信じ、今日も受話器を握りしめる。
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