介護現場での職員の負担軽減を目的に、県内30施設で順次導入が進められているロボットスーツ「HAL(ハル)」。下永谷の特別養護老人ホーム「芙蓉苑」(小林央(あきら)施設長)では6月から3台を試験導入し、現在は対人的な作業にも使用を開始するなど徐々に活用の幅を広げている。
ロボットスーツは介護現場での離職要因ともなっている腰痛の防止など、職員の負担軽減を目的に、神奈川県の事業として試験導入されているもの。期間は今年度末までで、その間については離職率の報告もなされる予定だ。
芙蓉苑に導入されている3台のHALはいずれも介護支援用で、本体の重さは約3kg。職員の腰に装着し、使用者の身体を引き起こすようにモーターが作動することで腰にかかる負荷を軽減するものだ。
「慣れ」には課題も
HALは人間が動こうとする時に脳から発せられる「生体電位信号」を皮膚から読み取って作動するため、「どんな風に読み取り、反応してくれるかという感覚的なところは慣れが必要」と小林施設長は話す。また「身体を起こすような場面では本領を発揮してくれるが、中腰のまま固定した姿勢で作業を続ける際には、まだ使いこなすのが難しい」と明かす。
さらに、現段階では装着に5分ほどを要しているが、「例えば、トイレに行きたいという利用者さんに対して、『5分待って』とは言えない」といい、装着時間の短縮も課題に挙げる。
「誰もが使いやすい物へ」
同施設は2012年から神奈川県の「介護ロボット普及推進センター」の役割を担っている。「安全面には最大の配慮をしながらも、ロボットを普及推進するためには、積極的に現場で使うことが欠かせない」と小林施設長は話す。また今後は、少子高齢化による介護職員の人手不足も予想されている。それゆえ人員に余力のある現時点で取り組む必要があると強調する。
同施設ではこれまで3人の職員が専任でHALを使用してきたが、今後は枠を広げ、性別や体格などさまざまな職員も使用していく方針。「誰もが使いやすい物にするために、多くの意見やデータを蓄積してメーカーと協力するのが重要な役割」と狙いを話す。
同施設でHALを使用しているケアワーカーの高井有希子さんは「ないのが当たり前という状態で長年やってきたので、最初は戸惑いもあったが、だいぶ慣れてきた」という。さらに「利用者さんが怖がったりしないよう、見慣れてもらうためにも使う頻度を増やしていかないと」と語った。
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