さいたま市の市民活動支援施設について「政治目的の団体が利用している」等の理由で、来年度から指定管理者による運営を停止する条例改正が10月に行われた。この動きに横浜市市民活動支援センターを運営するNPO法人は「政治施策に関わる団体が排除されるのでは」と懸念を表明。専門家からは言論の萎縮につながる可能性が指摘されている。
「さいたま市市民活動サポートセンター」の登録団体のうち、反原発や安保法案反対を主張する団体が市民活動の範囲を超えて政治活動をしており、同センターの利用目的に合わないと、同市議会の中で意見が出された。これを受け、指定管理者制度を2016年3月末で停止し、管理基準を見直すまで、同市が直営するという議員提案の条例案が10月16日に可決された。
この動きをに対し、横浜市市民活動支援センター=中区桜木町=を管理する認定NPO法人「市民セクターよこはま」は20日、さいたま市議会議長宛てに「意見表明」の文書を送付。その中で「全国の市民活動支援センターへの波及を心配している」と危惧を示した。
政策提言は可能
同センターや各区の市民活動支援センターは、市の「市民協働条例」に基づき、市民に活動場所として提供できる場合を規定。条例の解釈では、特定の「政治上の主義」を推進するための講演会等は除外されるが、福祉やまちづくりなどの政策提言といった「政治上の施策の推進」は市民公益活動になると考えられている。
市民セクターは意見表明で「今後、『政治上の施策』に関わる活動団体が排除されてしまうのではないか」と、政治活動の解釈が拡大され、市民活動の範囲が狭められることへの懸念を示したが、現状では市民活動と政治活動の線引きについて条例に沿った判断基準で運営しており、混乱は生じないとしている。
横浜では2012年に議員提案で市民活動推進条例が全部改正され、市民協働条例ができた経緯がある。
専門家「議論必要」
市長の附属機関である市民協働推進委員会の委員で恵泉女学園大学の松村正治准教授は「さいたま市の件はあってはならないことで、ますます物が言いづらい社会になる」とコメント。「公共サービスや政治的な活動についてNPOや市民団体が議員、行政とオープンな場で議論できる環境作りが必要」との認識を示した。
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