横浜市が子どもの貧困の実態把握のために、2015年に初めて実施した市民アンケートの結果がこのほどまとまり、市内で「相対的貧困」の状況にある子どもの割合は7・7%で、推計4万4千人に上ることが分かった。
調査は2015年8月に実施。0歳から24歳未満の子ども・若者が1人以上いる世帯のうち6000世帯が無作為抽出で対象となり、44・3%にあたる2657件の回答が得られた。
貧困ラインを下回る世帯の子どもの割合は、国が「相対的貧困率」を算出する際の基準としている「可処分所得額」を基に算出。貧困ラインとなる所得水準は、世帯員の人数によって異なるが、世帯員が1人の場合は122万円、2人の場合は173万円となっている。
ひとり親世帯で高率
アンケートでは「子どもがいる現役世帯のうちひとり親世帯」の貧困率は45・6%で、ひとり親世帯の半数近くが貧困の状況にあることが分かった。
食料に関する状況をみると、必要なものが買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答する割合は、全体で4・6%であったのに対し、ひとり親家庭では16・6%と高い割合となった。この傾向は衣料に関しても同様にみられ、アンケートは所得のみで見たものではあるものの、子どもの貧困対策としてひとり親家庭の生活の安定と向上が課題となっているといえそうだ。
「子ども食堂」設置も
こうした経済的貧困への支援策として、市では学用品費や修学旅行費、給食費などを援助する「就学援助制度」を既に設けている。
また公的な支援にとどまらず、何らかの理由で1人で食事をする子どもたちにバランスのとれた食事を低額で提供する「子ども食堂」の設置も近年全国的に注目されている。市内でも鶴見区にある駒岡地区センターでは今年4月からオープン予定で、運営を担うボランティアや食材の寄付を申し出る協力者も揃ってきたという。
対策計画策定へ
貧困状態にある家庭の課題は、ひとり親のほか、保護者の病気や障害などそれぞれ異なるのが現状だ。市は、国が2014年に施行した貧困対策推進法を受け、実効性の高い総合的な対策を進めるため、「子どもの貧困対策に関する計画」の素案を昨年12月にまとめた。支援対象を妊娠期から20代前半までの子ども・若者とその家庭としてとらえた上で、総合的な環境整備をめざしている。
素案に対して募集した市民からの意見を反映し、計画は3月までに策定する予定。市担当者は「関係局や機関等と連携し、計画の事業や支援が必要な子どもたちにしっかりと届くよう進めたい」と話している。
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