横浜市南部地域初の養護老人ホーム「野庭風の丘」の施設長として開所を迎えた 西森 秀治さん 泉区在住 63歳
分け隔てなく人を愛し
○…新たに開所した養護老人ホーム「野庭風の丘」。同施設はいわゆる「特養」とは異なり、経済的な理由などから自宅生活が困難な高齢者が入所する。「いわば社会的弱者のためのセーフティーネット。安心した生活を提供していきたい」。26人の常勤・非常勤スタッフをまとめる立場だが、対等な目線を大事にし、「管理職は皆のダメ出しを受け止められるくらいの度量がないと」。チーム一丸で、利用者の暮らしを見守る。
○…泉区にある養護老人ホーム「白寿荘」で15年間施設長を務めた。新施設には設計段階から進言するなど準備に関わってきたが、今なお「より安全で快適な環境に整えていくため、職員とアイディアを出し合っている」。話し合いは深夜にまで及ぶことも少なくない。一方で施設長として気を配る相手は、利用者だけではない。「職員の処遇と利用者の処遇は『車の両輪』。職員の雰囲気が悪ければ、そこで暮らす人たちも快適には過ごせない」
○…宮崎県出身。上京は大学進学の時だったが、「未だに『なまり』が抜けない。県民性を『日向(ひゅうが)ぼけのお人よし』といわれるけど、その典型」と温かく笑う。福祉の道を進路に考えたのは高校生のころだったが、大学卒業後トラックの運転手や営業マンも経験した。座右の銘は西郷隆盛が好んで使ったという「敬天愛人」。「好きな人を愛するのは誰にでもできる。人を愛するとは、分け隔てなく愛すること」。穏やかな表情の中にも力強さをにじませる。
○…定年の65歳まで残された時間はそう長くない。労働環境の整備と、地域との関係づくりを最低限の責務に据える。以前の施設では、空手2段の腕前を生かして子ども向けの指導を行い、「何かロマンチックなものも教えてあげたくて」と自らも学びながら天文部を立ち上げた。新施設でも「屋上には、天体観測のスペースを確保してもらったんです」。地域から愛される施設を、星にも願う。
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