特技や知識を生かして住民同士がお互いに家の修理や庭の手入れ――。区内上永谷の美晴台地区の住民間でこんな取り組みが広がっている。
今月15日朝、小雨が降る中、作業着姿の男性8人が集まった。いずれもこの地区に住む住民で、引っ張ってきたリアカーには庭木の手入れに必要な道具がズラリ。この日は2軒の戸建て住宅の住民から依頼があり、早速、庭木の剪定作業を始めた。脚立にあがり、伸びきった枝や葉を次々と剪定。チェーンソーを取り出しては、ベランダにもたれかかった太い木を切り倒す場面もあった。
庭木の手入れをしてもらった柴田由美子さんは「とても心強い。年を取ってくると動けなくなるから、気軽に頼めるのはありがたい。町内が明るくなって絆もできてきた」と笑顔をみせる。
「困っている住民に自分たちができることをやっているだけ」。そう話すのは、この「美晴台自治会助け合いグループ」代表の大塚雅一さん(73)。
上永谷2丁目から4丁目に位置する美晴台地区は昭和30年代に宅地開発が進んだ。メンバーによると、住民の高齢化が進み、思うように住宅や庭の手入れをできないケースが少なくないという。
そこで住民同士が支え合う組織を作ろうと、4年前に自治会のメンバーが中心となって同グループを発足。住民の特技や知識を生かしながら、庭の手入れや住宅の修繕、家事を中心に取り組んでいる。現在、メンバーは70代を中心に男女合わせて約40人いるという。
「プロではないが、やっているうち上手くなっている。庭木の手入れはまち全体もきれいになるし、防犯にも役立つ」とメンバーのひとり、高森惇さん。
この支援を受ける家庭は1人1時間につき200円支払う仕組み。安全確保のため、作業は午前中の3時間と決めている。メンバーは報酬を受け取らず、道具の購入費や自治会の資金に充てるという。庭木の剪定は15軒が予約待ちというほど評判は上々だ。
大塚代表は「活動を始めてから、知り合うきっかけとなり人とのつながりが広がってきた。若い人や定年退職したばかりの人にも声をかけながら様々な世代の人を取り込んでいきたい」と話している。
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