京急百貨店(上大岡)が10月1日で開店20周年を迎える。本紙ではその節目を記念し、長谷川悦見店長(常務取締役)にインタビューを行った。開店当初からこれまでを振り返り、京急百貨店らしさ、今後の百貨店のあり方、展望について語った。
――20周年おめでとうございます。開店当初を振り返るといかがですか。
「当時、百貨店業界では憧れの駅ビルとしてのオープンでした。ただ、当初は、接客の経験が少ない販売員がほとんどでしたから、売る方も商品知識が少ない中で対応していたので、当初はお叱りも多かったです。
しかし、それはお客様の期待度が高いことの裏返しだったと思います。期待に応えようと無我夢中で走るスタートでした」
――そうした中、どのように京急百貨店らしさを築いてきたのでしょうか。
「京急百貨店のコンセプトは地域密着。地域の人がどのようなものが必要で、どう提供できるかを考えてきました。お客様にとって都市型の百貨店は月に1、2回程度の利用ですが、当店は毎日来てもらうことが目標。そのため、食品売場では生鮮三品やグロッサリーなどを充実させました。百貨店でショッピングカートを導入したのは珍しいことでした。
また雑貨類、いわゆるカルチャーモノの規模を大きくし、生活に潤いをもたらす商品に力を入れてきました。1999年にはヨドバシカメラさんが入店しました。業界の中でも接客で高い評価を得ていましたので当店のお客様にも最適だと考えました。女性1人でも抵抗なく電化製品を買い回ることができる店づくりに貢献できたと思います」
――お客様は子どもからシニア世代まで様々ですが、特に最近では婦人関連が充実していますね。
「働く女性が増えている中、仕事を終えてから子どもを迎えに行ってさらに夕飯づくり、というのは本当に大変なことです。だからこそ、自分の時間を大切にする時代になっていると思います。
これからの百貨店の役割は、豊かさをどう表現していくかということ。例えば、洋服よりも雑貨に力を入れることも、その答えの一つです。お客様が『自分の生活の仕方を発見する』ことができる店づくりをめざしていきたいです。
今回、20周年に向けてリニューアルを行ってきましたが、中でも9月22日にグランドオープンした3階婦人雑貨売場はその集大成です。『働く女性』に向けたコンセプトとして”人が集まる、賑わいのある場所″を意味するフランス語の『Au Marche(オゥマルシェ)』とネーミングしました。もともと百貨店はモノを消費するだけではなく、コトを始めるところでもあります。世の中で流行っているモノやコトを伝えていくことも大切な役割だと考えています」
――20年間で百貨店を取り巻く環境も変化しました。これからの百貨店のあり方をどう考えますか。
「お客様の入店回数は増えているものの、購買回数が減っているのが現状です。コンビニエンスストアの市場が拡大し、インターネットで買い物をする人が増えています。特に商品が分かっているものはネットで買うことが常識化しています。
リアル店舗のメリットは、直接販売員と対面して実際に商品やその付加価値、価値観を確認できることです。その部分を充実させることがこれからの百貨店で一番重要なことだと思います。そして、今後も地域と一体となって上大岡の街を発展させていくことも重要だと考えています」
――最後にお客様や地域の方へメッセージを。
「この20年間でお客様にお伝えしたいのは『感謝』という言葉に尽きます。20年間の中で前年同月比119カ月連続増収という記録もありました。これもお客様やお取引き先の皆様のご意見があったからこそだと思います。店づくりにおいてお客様から頂く声は本当にありがたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします」
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