港南区・栄区版 掲載号:2017年1月5日号

厚生労働省が表彰する「現代の名工」に選ばれた

倉井 誠さん

大久保在住 77歳

職人だからこそ理論的に

 ○…厚生労働省が工業技術や伝統工芸などの分野で優れた技能を持つ技術者を表彰する「現代の名工」に選ばれた。2016年度は全国で160人が選出され、11月20日に公表された。金属プレスの職人として難しい注文でさえ数々と製品化し、日本の家電製品や半導体部品の開発、量産化に多大な貢献をしたことが評価された。「62年間も同じ仕事を続けてこられたなんて今でも信じられない。運がよかった」

 ○…1954(昭和29)年、15歳で東京芝浦電気(株)(現・(株)東芝)の養成校に入った。めきめきと技術を身につけると、時代はまさに高度経済成長期の幕開け。金属プレスの技術が電化製品の量産化をけん引した。ブラウン管テレビや電子レンジ、半導体などの開発、量産化の最前線に立ち、複雑な金型や部品を作り出してきた。「職人は勘でやっているように思われているが、コストを考えて効率的に数を作ることが重要。理論的でなければいけない」

 ○…強豪東芝ラグビーの黎明期を支えたメンバーのひとりでもある。桜岡小学校、港南中学校へと進み、野球と柔道に打ち込んできたが、20歳を過ぎてからはラグビー選手として活躍。「若い時の青春の1ページだよ」と大事に保管してあるモノクロ写真を手に取り、頬を緩める。まさに実業団スポーツが白熱した時代。工場での勤務を終えては練習で汗を流し、大会に臨んだ。

 ○…東芝を定年退職して1994年から現在まで、プレス加工の中でも「絞り」を得意とする小沢工業株式会社本社工場(川崎市幸区)の工場長を務める。「他の会社で製品にできないからといって仕事の依頼を受けるのは職人として嬉しいこと」。今は医療機器などの金型、部品を中心に少量多品種の生産に取り組むのが中心だ。「六十の手習いという言葉があるように、いつでも新しいことに興味も持つことが大切。その思いが技術の基本だよ」

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