「たとえばシングルマザーの看護師さんが夜勤の時、子どもをどこに預けたらいいのか。当時は頼るところなんてなかった」――。
港南区の保育グループ「どんぐり」が発足したのは20年前。有償ボランティアのホームヘルパーとして地域で活動していた萱畑佳代子さん(77)は、子育て支援に関するニーズと直面する場面も多かったという。
「私も結婚を機に引っ越したから、子育ての時は孤立していた。乳児院に勤めた経験のおかげで多少よかったけれど、そうでない人はどんなに不安か」。当時は公的な保育サービスが今より十分でなかったため、頼るところのない母親たちを応援したい一心でグループ発足に踏み切った。
どんぐりが提供しているサービスは、各家庭に出向く「訪問保育」。メンバーはほとんどが保育士や看護師の資格を有し、公園などに出かけて虫取りや水遊びの相手をすることもある。「やっぱり子どもは外遊びが好きだから」。それでもこれまで20年間、一度もトラブルはないという。
またグループでは定期的に勉強会を開き、今どきの子育てについての情報交換にも力を入れている。「昔は『抱き癖がつく』と言われていたけれど、今はできるだけ抱っこしてあげた方がいいとされている。そんな風に、保育の常識は時代によって変わっていくから」
時代が変わっても
萱畑さんは「『皆やってきたことだから』という言葉は子育て中の親を追いつめることもある。一方で大変な時の小さな支えは、本人にとっては大きな助けになったりする」と話す。
20年前と比べて保育グループも増え、子育てをサポートする公的な支援も増えたが、「やることがなくなるのが本当は一番なんだけど」となおもニーズは存在する。「落ち着いたころに再会して、元気な姿を見るのが一番ほっとする」。
(問)・「どんぐり」中野代表(【携帯電話】090・4429・9645)
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