栄区・上郷猿田地区の緑地開発問題をめぐり、市民が新たに「横浜のみどりを未来をつなぐ実行委員会」を発足した。市長らに面会を申し入れたほか、今後は署名を集めて住民投票を目的とした条例制定などを求めていくことも視野に入れている。
同地区をめぐっては2007年に東急建設(株)が緑地の開発を含む都市計画提案を行って以来、同社と地権者、近隣住民との間で議論が続いている。同地区は瀬上市民の森に隣接し、オオタカ、コサギ、カワセミなどの野鳥や昆虫類の生息域となる自然環境が残っており、近隣住民らによる団体が環境保全などを理由に強く反対を主張してきた。
提案は強い反対を受けて翌年に一度白紙となった。その後、同社が再度14年に緑地の保全に配慮した提案をしたところ、15年に横浜市は開発に舵を切り、提案を修正した上で市の都市計画案として、説明会や公聴会などの手続きを進めている。市は17年度内での最終的な都市計画決定・変更告示を目指しており、再度注目が集まっている。
これまでにも地元を中心に、反対署名を集めることを目的とした団体や、緑地買取を目指す団体などが活動を続けてきた。今回発足した実行委員会は市内在住の11人のメンバーからなり、市長との直接の面会を通じた全面保全を目指す一方で、新たな手段として「条例制定」を求める活動の準備も進めているという。
地方自治法の制度上、市民有権者の50分の1の署名を集めれば、条例の制定について議会に議決を求めることができる。同実行委員会では、上郷猿田地区の問題にとどまらず「大規模な横浜市内の緑地開発については住民投票で決定する」という新たな仕組みを条例の内容として求めていくことなどを検討している。
実行委員の1人で栄区本郷町在住の田中倫さん(36)は、「都内で働き始めてから、生まれ育ったまちの自然の豊かさを思い知った。一会社員でしかないけど、まちづくりに関わらなければならない世代として、行動を起こすことが、同世代の刺激にもなれば」と語る。
2カ月で6万筆必要
横浜市内の有権者は約306万人(7月時点)で、請求には約6万1000筆以上の署名が必要となる。さらに署名は開始から2カ月以内に集めなければならないなどの制約もあるため、実現までのハードルは高い。
NPO法人「ホタルのふるさと瀬上沢基金」の理事としてこれまで活動を続け、今回の実行委員でもある角田東一さん(74)は、「かなり厳しいが、近年若い世代が積極的に関わってくれるようになった。行動力や勢いがあり、ネットを使って活動を広める方法などはさすが」と手応えを話す。
署名活動など詳細は同団体のサイト(http://livegreenyokohama.com)へ。
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