供養のあり方が多様化する中、遺骨を粉末状にして海や山に撒く散骨が全国的に増えている。横浜港周辺でも頻繁に行われているようだ。
9月30日の午前11時、NPO法人葬送の自由をすすめる会(東京都千代田区)がチャーターした船が日本丸近くの船着き場を出航した。この日の合同の散骨に参加したのは5組14人。30分ほど波に揺られ、大黒ふ頭沖に到着すると、NPOメンバーの説明に従って花びらとともに水に溶ける袋に入った遺灰を海へ撒いた。散骨場所は漁場や観光客などに配慮して決めているという。
参加者のひとり、町田市在住の70代の女性は、2007年に69歳で亡くなった夫の遺骨を供養した。遺骨は10年近くダイニングキッチンに置いていたという。「(夫の)80歳の誕生日を機に本人の希望もあって当たり前のことをしただけ。それができて万々歳。憂いはない」。県内で理科の教師をしていた夫は生前、「神奈川に骨をうずめたい」「どんな生き物も地球から生まれて地球に戻る」とよく話していたという。
同会は「自然葬」の先駆け。1991年に相模灘で行った自然葬が国内で初めて。ピーク時には1万人以上の会員を集め、これまでに全国で自然葬を行ったのは4000人に上る。横浜でも度々実施している。
同会のメンバーは「最近は散骨がビジネスになり、横浜港周辺でも増えている」と話す。海では届け出の必要がなく、散骨の普及に伴い、葬儀業者や船会社が独自に実施するケースも多い。「山などで骨の形がわかるまま散骨をする業者もいる。地域住民や自治体とトラブルになるケースもある。一定のルールが必要」と指摘する。
同会は自然葬だけでなく、葬送自体の選択の自由を求め、国に対して法整備を訴えている。「自然に還るのか、お墓に入るのか、その葬送の方法を選択できることを知ってほしい」と呼びかけている。
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