いわゆる「振り込め詐欺」や「オレオレ詐欺」などを含む「特殊詐欺」の被害が止まらない。今年1月から11月末までに、栄警察署の管内では45件で1億7000万円(前年同時期は23件7400万円)、港南警察署の管内では52件で1億1700万円(前年同時期は16件3300万円)の被害が発生しており、件数、被害額ともに前年と比べて倍増している。また栄区では11月に架空請求の事案で1件で6000万円の被害に遭ったケースもあるという。
多様化する犯行手口
従来の手口では、金融機関から現金を引き出させたり、口座からの振り込みを促すケースが多かったが、最近増加しているのはキャッシュカードや通帳そのものをだまし取るという手口だ。具体的には電話で「あなたのカードが不正に使われているので、止めるために手続きが必要です」と切り出してくるという。
高齢者が高額な現金を引き出そうとする場合、各金融機関の協力で被害阻止のための声がけが現在では一般的になっており、利用目的の確認などで阻止した事案も増えている。一方で、「新たな手口では若い犯人がATMなどを使うので一般客と見分けがつかず、阻止が難しい」と栄署生活安全課の田中豊課長は話す。
また、犯行グループが被害者宅にカードや通帳を取りに来る際に、偽物の警察手帳を提示したり、受領書をその場で書いて手渡したりといった手段を使うという。「そういった貴重品を、初対面の人に渡してはいけない。当たり前のようだが、犯行グループはそのような冷静な判断ができなくなるように仕向けてくる」
「電話に出ないで」
犯人の手口は9割以上が固定電話への連絡から始まるという。そのため栄署では、対策として留守番電話機能の活用を呼びかけている。犯行グループは声を録音されるのを嫌がるため、同署はこれにより大半の被害は防げると見ており、現在は特別巡回を実施して高齢者宅などを対象に個別の確認作業も行っている。
栄署の坂本仁義署長は「自分は大丈夫だ、と思っていても犯行グループはさすがに巧妙。百貨店、家電量販店などを名乗るケースもある。自主防犯として、1人ひとりが用心することも被害拡大を防ぐ上で欠かせない」と話す。
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