市内で唯一、充足率100%を達成した西消防団の団長を務める 原口 幸多夫さん 西区久保町在住 66歳
「玉ちゃん」団長が街を守る
○…「地域住民の安全安心を守るために心をひとつに。これに尽きるね」。消防団員の心得を尋ねるとこんな答えが返ってきた。西消防団の団長になって2年。このほど市内20の消防団で唯一、団員定数が100%を達成した。「団員が知り合いに声を掛けたり、署員の方々がアイデアを出してくれた。みんなが消防団を大事に思い、行動してくれる気持ちが嬉しいよね」と喜ぶ。
○…西区久保町で中華料理屋「玉屋」を営む。長崎に生まれ、15歳の時に親戚を頼って横浜へ。中華料理屋に就職して修業を積み、24歳の時に念願の店を開いた。「そりゃあもう、必死に働いた。店を持てたときは感慨深かったね」。消防団に誘われたのは、店も忙しくなってきた34歳の頃。仕事との両立は大変だったが、出動が掛かれば誰よりも早く現場に駆けつける熱血漢ぶり。夜中の出動や、つらい現場も多かったが、「それでも続けてこられたのは仲間のおかげ」。昔はよく店の定休日に団員と店のテーブルを囲み、麻雀をしながら酒を酌み交わした。「地域を守るのは自分や家族を守ることにもつながる。消防団に入って本当によかったよ」と言葉を噛み締めながらしみじみと語る。
○…地元では以前に町内会長も務め、近所では店名から「玉ちゃん」の愛称で親しまれる。「小さい時にうちに食べに来ていた子が大人になって、こっちに帰ってきた時にふと立ち寄ってくれる。そういうのも嬉しいよね」。餃子とサンマーメンが店の看板メニューで、今では厨房で2代目の息子が頼もしく鍋を振る。
○…「団の定年は70歳。退団して店も息子に譲ったら、ずっと苦労かけてきた妻とゆっくり温泉旅行に行きたいね」。現在高校1年生の孫は18歳になったら消防団への入団を目指しているそうで、「それが今の一番の楽しみ。まだまだ頑張らないとね」。団長や店主の表情とも違う、優しい笑顔だった。
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