国連平和維持活動(PKO)上級幹部として、東ティモールやシエラレオネで武装解除を指揮した伊勢崎賢治さんが6月10日、中区内で今後の自衛隊について講演を行った。講演は横浜弁護士会が企画、定員1100人の会場に703人がつめかけ、関心の高さをうかがわせた。
伊勢崎さんは、軍法を持たず法的には警察組織である自衛隊について、武装した形での海外派遣は国際的にも無責任と指摘。非武装で中立を守り抜く「国連軍事監視団」に、自衛隊の能力を発揮すべきと主張した。「紛争当事者の懐に入るためにも、非武装を武器として使う」とそのねらいを語った。
国際的に認められた武力行使は、個別的自衛権と集団的自衛権、国連による集団安全保障の3つと説明。個別的と集団的は、あくまでも国連が対応するまでの暫定的な措置というのが国際社会の理解だという。
それを踏まえ、いわゆる安保法制が想定する自衛隊の活動として「周辺事態」「有志連合型」「PKO」の3つを挙げ、講演ではPKOに焦点をあてた。
紛争当事者の可能性も
自衛隊も参加してきたこれまでのPKOは、紛争地の停戦を主な任務とし、中立的立場を重視してきた。しかし、1994年にアフリカのルワンダで起きた100万人にのぼる住民同士の虐殺をPKO部隊が止められなかった経験から、近年その任務は激変、「住民保護」に主軸が移りつつあるという。
紛争当事者は、軍服などを着ておらず住民に紛れているのが一般的で、攻撃は予測不能。そのため、住民保護を任務とするPKO部隊は、突然の発砲に応戦することになり”紛争当事者”になる可能性が高い。伊勢崎さんは、このような現実から「憲法改正しない限り、武装した自衛隊は海外に出せない」と指摘した。
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