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中区・西区版 公開:2017年2月23日 エリアトップへ

100周年へ 人づくり・まちづくり

社会

公開:2017年2月23日

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右から吉野さん、大藪さん、角野さん
右から吉野さん、大藪さん、角野さん

 スポーツ振興・多文化共生・NPOによる地域活動と、それぞれ異なるフィールドで活躍する3人が集い10年後の中区制100周年に向けたまちづくりについて語り合った。議論からは主体的にものごとに関わる大切さがみえてきた。(本文・敬称略)

全ての子どもに居場所を

 ――まず、中区の10年後のあるべき姿について、それぞれの考えや思いをお聞かせください。

吉野「子どもたちに夢を与える地域主体のサッカーチームをつくりたいと、1986年にYSCCを立ち上げた。そして、25周年の時に、子どもも高齢者も一緒に活動できる施設の実現を掲げて今に至る。土地の有効活用としても、10年後にはスポーツを通して誰もが笑顔で1日を終われる場所があればと思う。そこが起点となってコミュニティーも生まれると考えている」

角野「1990年代ごろまでは経済成長する社会状況であり、横浜もそのような経済状況を背景にまちづくりが行われてきた。しかし、パラダイムシフト(考え方や価値観の変化)が起こり、これまでのやり方での発展は難しくなってきた。市民一人ひとりがまちづくりに対する意識レベルを上げて議論し、行動する時代だ。そこで10年後に向け、開港の地である中区として、国際的な存在感・サスティナビリティ(持続可能性)・多様なチャンス、この3つの要素についてそれぞれのレベルをいかに上げていくかが問われる。区民が将来に向けた共通したイメージを持ってまちづくりに取り組んでいるのが10年後の理想の姿だと考えている」

大藪「米国に25年住み3年前に帰国したが、帰国後に感じるのが人権意識の希薄さだ。外国につながる住民が1割を占める中区において、私たちが人権意識を高め、一人ひとりが大切にされる社会の実現をめざすべきだと思う。また、人権意識を育てていくためには、子どもたちが自尊心をしっかりと持てるような『居場所』が必要。それはPLACE・場所という意味だけでなく、大人が子どもとしっかり向き合うことで生まれる心の拠り所でもある。この取り組みは個人レベルでもできることだと思う」

問題意識持ち地道に活動

 ――あるべき姿を実現するために、どのような取り組みが必要でしょうか。

吉野「地域のサッカークラブとして、子どもたちが着の身着のままで参加できるサッカースクールも開いている。そこには、外国につながる子ども、学校生活がうまくいかず転入してきた子どもなど、参加者は多様。つまり、居場所になっている。このような取り組みを着実に続けていきたい。課題は、活動をしっかり継続するための場所がないこと。30年活動してきたが施設面の環境は変化していない」

角野「自分のまちは自分でつくろうという『市民』意識をつくっていく必要がある。まちづくりを一部の人に任せて、サービスの消費者のままではいけない。私が関わっているNPO法人『濱橋会』は、そもそも隣町の祭を知らないのはいかがなものか、という問題意識から地域同士の橋渡しを進めようと始まっている。周りの地域に関心を持ち、そこから地域づくり、まちづくりに関心を持っていくのも1つの方法だと思う」

大藪「18歳で渡った米国は個人を尊重し受け入れてくれる土壌があった。もちろん単純な比較はできないが、外国につながる人が多い中区においては、もっと受け入れる環境をつくっていく必要があると感じる。この現状を改善するには同じコミュニティーの一員という意識を、時間をかけて醸成していくしかない。10年間は短いが、それを地道に続けていくことが大切だ」

 ――実践していることはなんでしょうか。

吉野「人に優しいまちであって欲しいというのが私の願い。サッカースクールでは多様なバックグランドを持つ子どもたちと接してきた中で、相手を理解しようと努め信頼関係を築くことを大切にしている」

角野「濱橋会で、生活に密接した大岡川と中村川の水質調査をするなど水質改善に向けた取り組みを進めている。また、2つの川を通り水上交通の可能性を模索する運河パレードは4回実施。昨年は、川沿いの商店街と連携し船上ウェデイングも試みるなど、新たなビジネスとして発展できる可能性も生まれてきた」

大藪「外国につながる子どもたちが撮影した横浜の写真展を今年1月に初めて開催した。彼らが見ている世界を写真というかたちで客観的に知ることで、彼らが何に関心を持ち、どのような問題意識を持っているのかを読み取って相互理解につなげていきたい」

 ――中区の魅力は。

吉野「横浜開港の地としての歴史の深さ。それを学び、自分が住むまちとして発信できることは喜び」

大藪「古いものの価値をしっかり認識し、これからも大切にしていこうという姿勢が魅力」

角野「都市性と村性の共存。これからは生産性重視の都市性と直接的な人間関係で動く村性のバランスをいかに最適化して、サスティナビリティを担保していくかが問われると思う」

座談会参加者プロフィール吉野 次郎さん

1965年 本牧 小港町生まれ。総合型地域スポーツクラブNPO法人「 Y.S.C.C.(横浜スポーツ&カルチャークラブ)」の理事長。運営するサッカーチームはJ3リーグに所属。子ども向けのサッカースクールなども展開する。



角野 渉さん

1983年 山手町生まれ。一級建築士/博士(建築学)。一級建築士事務所「角野デザインノード」代表。「横浜山手やってみよう会」コーディネーター、NPO法人「Hama Bridge濱橋会」の理事を務める。



大藪 順子さん

1971年 大阪生まれ。フォトジャーナリスト。米国の新聞社専属写真家を経て2002年よりフリーに。プロジェクト「STAND:性暴力サバイバー達の素顔」が反響を呼び全米で講演会と写真展を展開。14年に帰国、中区在勤。

◆以下の画像をクリックかタップするとPDFが開きます。

 


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