昨年4月から導入された国の新たな制度、企業主導型保育事業を活用した保育所「メイプル ナーサリー」が3月1日、西区戸部本町に開所の運びとなった。企業主導型保育所は市内でも珍しく、中区・西区における開所は第1号となる。
この新たな保育事業は、多様な働き方がある企業ニーズに対応するために設けられた制度。その名のとおり、企業がつくる保育所と言える。施設分類は認可外でありながらも、国から助成金が出る。また、横浜市などの基礎自治体を通さないため、認可保育所と比べると開設までの手続きが簡略化されるなど、運営事業者のメリットも指摘されている。
今回、西区で企業主導型を開所した(株)ノーリッシュ代表の千葉明子さん(50)は「まずは『企業主導型』の存在を、一人でも多くの保護者に知ってもらいたい。選択肢が広がることはよいこと」と話している。
施設と直接契約
南区の認可保育所(小規模保育事業)で園長も務める千葉さんは”待機児童”や、入所を待たされている”保留児童”など、保育を取り巻く問題を現場で感じてきた。
認可の場合、保護者の収入や家庭環境などを考慮した福祉的な側面から入所の優先順位が決まる。千葉さんは、その重要性を認めつつも、一方で「共働きで、子どもが保育園に入れない家庭の大変さもどうにかできれば」と企業主導型に着目。この事業の場合、運営事業者が企業および地域住民と直接契約するので、枠を任意で決めることができる。そのため地域の実情に応じた柔軟な運営が期待されている。
運営は、一企業、複数企業による共同、また、設置後に運営を保育事業者などに委託することも可能だ。
例えば、子どもの保育所入所を希望する社員がいる会社の場合、その会社が企業主導型保育所と契約することで入所枠を確保。その社員が4月から職場復帰予定で、認可保育所の一次申請(発表は毎年1月末)に漏れた場合でも、企業枠を使うことで働くことが可能になる。
様々な利点がある一方で、行政の監視機能がおよばないため保育の質をいかに保つかが課題。千葉さんは、第三者による運営状態のチェックなど、この制度が永続的に機能するシステムを導入すべきと指摘した。
保育所制度を所管する市こども青少年局では、企業主導型保育所について「待機児童や保留児童の解消につながれば」と期待している。※「メイプルナーサリー」は定員満了。
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