市教育委員会が今年3月に発表した市立富士見中学校(中区山田町)の市立吉田中学校(同羽衣町)との統合案について、地元の代表者からなる「富士見中学校・吉田中学校 小規模校対策検討委員会」はこの程、両校を平成25年4月に統合する方針を決定した。
話合い平行線も
富士見中校舎の耐震性不足と小規模校対策を理由として、近隣の吉田中への統合を示した今回の統合案。生徒の安全確保のため、平成23年度中の引越しを目指し、富士見中の校庭には仮設校舎の建設準備が急ピッチで進められている。
一方、統合案の発表後、両校の保護者や地域の間では市教委に対する不満が噴出。「富士見中の校舎の耐震補強工事や建替えは出来ないのか」「統合後の教育環境が不安」など市教委の説明に納得がいかないとして、議論が混沌としていた。
また、両校PTAや町内会長らで組織し、統合を含めた白紙の状態から今後の方向性を話し合うとしていた検討委員会は、当初6月下旬に立ち上げ予定だったが、その開催は大幅に遅れた。市教委では「要望のあった数回の保護者説明会を行ったことや、9月の台風の影響で、開催が遅れた」とするが、第1回目の検討委員会は10月12日までずれこみ、両校の現状や課題を確認するに止まった。
11月18日に行われた第2回目の会合では、両校の方向性について長時間にわたって議論が交わされた。
議論の鍵となったのが、平成24年度新中学1年の希望校調査票の発送スケジュール。市教委では、富士見中か吉田中のいずれかを選択できる「特別調整通学区域」の保護者向けへの同調査票を12月1日に発送する段取りで、その通知の中に両校の方向性に触れなければならないと説明。その日の話し合いの中で、両校の方向性(統合)を確認したいことを強調し結論を急ぐ市教委と「この場で結論を出す事は出来ない」とする富士見中PTAとの話し合いは平行線をたどった。
最終的には、富士見中で改めて開く保護者説明会の中で、校舎の建替えや耐震補強は出来ないとする市の方針をいま一度詳しく伝えることを前提とし、富士見中PTAも統合方針を承諾。また、仮設校舎での学校生活が極力短いようにと、平成25年度の統合予定で結論をまとめた。
学区の見直しも検討
今後は、市教委、市会の議決を経て正式に統合が決定。検討委員会では、近隣の平楽中学校も含めた通学区域の見直しや校名などの具体的内容を検討していく予定だ。
ただ、この間の市教委の拙速な進め方に不信感を募らせる保護者らもおり、今後の統合過程が順調に推移するかは不透明な面も残している。
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