根岸榊神輿保存会の会長として、江戸時代から続く祭りの継承に尽力する 寺田 寛さん 中区根岸町在住 74歳
仲間と共に伝え続ける
○…根岸八幡神社の例祭に合わせ、3年に1度行われる根岸の榊神輿。この伝統的な祭りがこのほど、市の無形民俗文化財指定を受けた。「長い歴史のあるものが指定され、とても嬉しい。今まで続けてきた甲斐があった」と笑顔を見せる。有形のものとは異なり、無形文化財は伝え続けなければ消滅してしまう。「製作する人材の育成、榊など材料の調達、担ぎ手の確保など、継承には多くの難問がある。これからも祭りを末代まで伝え続けなければ」。その双肩にかかる重圧が、言葉の端から感じられる。
〇…地域の子どもたちにとって、榊神輿は憧れだった。「小さいころは神輿の周りにくっついて歩いているんだけど、10代くらいからようやく担ぎ手として入れてもらえるんだ。大人への仲間入りって感じだな」と、懐かしそうに目を細める。昔は神社の巨大神輿も一緒に練り歩き、担ぎ手と支援役だけでも120人以上が祭りに参加した。「あのころは、とても盛大な祭りだった。当時の熱気をできるだけ今の人たちにも伝えたい」
〇…生まれも育ちも地元。小さいころは、当時家のすぐ近くまで広がっていた根岸の海で、日の出から日の入りまで遊んだ。「家には、ほとんどいなかったな。夏は真っ黒に焼け過ぎて、後ろも前も分からないってよく言われたよ」と、屈託のない笑みを見せる。少年時代は野球に没頭し、甲子園をめざして法政二高に進学。卒業後は実家の石材店で働き、現在は2代目社長を務める。24歳のときには地元の消防団に入団。最後は消防団長を12年間務め上げ、消防庁長官から表彰も受けた。
〇…現在は、妻、子との5人暮らし。趣味をたずねると「昔はゴルフをはじめ、遊べることはなんでもしたけど、最近は酒くらいかな」。その酒は、日本酒の辛口専門だという。座右の銘は「感謝」。「仲間があっての活動だから」。感謝の気持ちを胸に、仲間と共に重責を担っていく。
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