市漁業協同組合本牧支所長として50年ぶりに復活した「お馬流し」の祭礼船を保管する 鈴木 達治さん 中区本牧元町在住 77歳
本牧の海と生きる
○…「昭和38年が最後。みんなで祭礼船の前で写真を撮ったのを思い出すね」。それから50年、大規模な修復を経て復活をとげた2艘が本牧神社「お馬流し」本祭の8月4日、本牧の海へ繰り出す。
○…都会近郊の漁業組合として、「地域の理解があってこそ。協力するのは当たり前」ときっぱり。課題となっていた祭礼船の保管場所に、「俺の責任で漁港で受け入れる」と決断。その一本気な姿勢に祭礼委員や氏子らも触発され、市に掛け合うなど動きだした。そして、漁港での保管が実現する。懸案解決に多大な貢献をしたにもかかわらず、漂々と「地元の漁師として置き場所を提供しただけだよ」と語る。
○…生まれも育ちも本牧。80歳近い今でも毎日漁にでている。夏は朝の5時、冬でも5時30分には出港し、獲れるときは昼の3時ごろまで船の上だという。「中学3年の3学期から乗ってるからな」。父と兄2人を海で亡くしているものの、「辞めたいと思ったことはないよ。だって漁師だから」。子どもの頃は、潮が引いた海辺でよく遊んだという。「裸足で駆け回ると、カニを踏んづけて痛い思いをしたな」と、埋立前の本牧の海を懐かしむ。「やっぱり海は砂浜がないとダメ」。漁獲量は1991年ごろから徐々に減少し、95年ごろに激減。その後は、少ないまま推移しているという。「漁師も大変だよ」とつぶやいた。
○…365日、晩酌は欠かさない。「お酒が好きだからね」とにっこり。息抜きにと、たまのパチンコも。「行っても2時間くらいだよ」と苦々しく笑った。家では妻と娘、孫2人との5人暮らし。近くに居を構える息子も漁師で、同じ組合の仲間として漁に励む。「せがれは朝、うちに寄って、お茶飲んでから浜にくんだ」と目を細めた。
○…当時の祭礼船に乗った人に「お馬」を流してほしい。そんなリクエストに「50年ぶり、楽しみだ」と海の男の血が騒ぐ。
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