写真家で中華街に住む人の撮影を続ける 横山 和江さん 中区千歳町在住 30歳
写真で表す路地裏の空気
○…1月10日からフォーラム南太田(南区)で作品展を開く。一般に知られる観光地とは異なる中華街の路地裏が被写体だ。撮りたい人の家には何度も通い、対話を重ねた。その結果、子をあやす母親の姿など、自然な日常の様子を切り取れた。「中華街全体は大家族のようで、温かい雰囲気」と白い歯を見せる。
〇…中国・福建省出身。先に日本で生活していた母親が帰国時にプレゼントとして持ってくるランドセルやおもちゃから「日本はテーマパークのような場所だと想像し、ワクワクしていた」。9歳で来日し、西区平沼に住む。「ごみがなく、きれいで驚いた」と振り返る。横浜山手中華学校に通い、放課後は中華街の路地裏でゴム跳びや玉蹴りをして遊んだ。「故郷の路地裏に近かった」と異国の地でも懐かしさを感じたという。
〇…小学5年生の時に日本国籍を取得。大学時代、フランスでのボランティア活動中、世界各国から集まる仲間の写真を撮り、それを見せるうちに心が通じ合えたことを肌で感じた。「言葉の壁を越えられた」。これを機に「社会とかかわる表現法」というフォトジャーナリズムに興味を持ち、在学中にアメリカへ留学。卒業後、一度は父が経営する中華料理店を手伝ったが、写真への思いを断ち切れず、フリーカメラマンの道を歩む決断をした。現在は4歳の長女を育てながら、バッグや雑貨の商品、舞台やイベントの撮影も行い、フィルムカメラを片手にまちの風景を収めている。
〇…趣味は読書。ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの本から「『みんなが応援してくれるから頑張れる』という点に心を打たれた」と真剣な眼差し。仕事で訪れる野毛は「昔の下町の雰囲気がある」とお気に入り。昨年末は夫の故郷である中国・瀋陽に行き、撮影してきた。人やまちを撮るのは「歩んだ道を知ることができるから」。今後も路地裏から人々の息遣いを発信していく。
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