「横浜・藤棚シネマ商店街」の影の仕掛け人で「シネマノヴェチェント」を運営する 箕輪 克彦さん 西区中央在勤 52歳
映画に魅せられた人生
○…藤棚商店街の一角に昨年2月、映画館「シネマノヴェチェント」をオープンさせた。座席数28の「日本最少」を自負する映画館だが、フィルム上映にこだわり、配給も行うなど作品の知名度によらない独自のラインアップでじわじわと人気を集めている。「自分が良いと思った作品だけを上映しています。シネコンでは観られない、埋もれた作品にも光をあてられたら」
○…川崎市麻生区で生まれ育つ。幼少期から父に手を引かれて通った映画館でその迫力や世界観に魅了され、「いつか自分でもこんな作品を撮ってみたい」と夢見るように。大学は念願の日大芸術学部映画学科へ進むも、「実際に映画をつくってみると、撮影よりも周りのマネージメントにばっかり労力を割かれるのに辟易した」。そんな違和感から監督業を諦め、大学卒業後は実家の酒屋を手伝って貯金をし、「好きな映画を観て、語り合える」場作りをめざすようになった。
○…そして13年前に川崎市内で友人らとシネマバー「ザ・グリソムギャング」をオープン。経営は順調だったが、建物の老朽化などで2年前に閉館を余儀なくされ、次の場所として探し当てたのが藤棚だった。「首都圏で広く探したけれど、条件にぴったり合うのがここしかなかった。というか、映画の神様から『ここでやりなさい』って言われたような気がした」と笑う。
○…日本最小の映画館でもフィルム上映へのこだわりは人一倍。「フィルムにはデジタルにはない、アナログのファジーさというか、個々の監督やカメラマンの癖などが出て面白い。配給もすることで、ここでしかできない映画の魅力を伝えられたら」と語る。館内併設のトラットリアでは地元商店街の食材を使った料理も提供する。「藤棚商店街っていい雰囲気ですよね。いろいろ協力して一緒に盛り上がっていけたら」。策士の頭の中には、商店街を題材に様々なイメージが描かれているようだ。
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