日本を代表する仏教宗派の一つ、天台宗の伝統行事「戸津説法」の説法師に円満寺=西区久保町=の西郊(にしおか)良光住職(75)が選ばれた。説法師は毎年全国から一人が選任される大役。現在の形式になった明治時代以降、神奈川県からの指名は初めてという。
説法師は天台宗の宗祖・最澄の命日である6月4日に比叡山延暦寺=滋賀県大津市=で行われる「長講会(ちょうこうえ)」において、天台宗の最高権威である座主(ざす)から直々に指名される。
同説法は最澄が両親を供養するために琵琶湖畔の戸津浜で人々を集めて法華経を説いたことが始まりと言われており、それ以後、同宗の伝統行事として今日まで受け継がれている。今年も例年通り、8月21日から25日にかけ東南寺=京都府下阪本=で行われる予定。
天台座主への登竜門といわれる戸津説法師に選ばれ、西郊住職は「生涯に一度しか選ばれることがないので、大変な大役を任されたという気持ち」と語る。
法華経は、28品(ほん)の物語風の教えからなる経典で、全ての人が仏になれると説いている。説法ではそれら全ての教えを、1日1時間という限られた時間の中で説くことが求められ、説法師の手腕が問われる。
西郊住職はこれまで30年以上にわたり、「天台宗一隅を照らす運動」などを通してラオス・タイ・カンボジアなどの東南アジア地域で小中学校建設の活動にも精力的に取り組んできた。建設した学校は140を超え、今年2月にもラオスで学校を新設した。「学校建設の経験も取り入れて教えを説いていきたい」と話していた。
西郊住職は1973年より円満寺住職を務め、これまで天台宗宗議会議員や同宗議会議長、運営面を担うトップの役職である宗務総長などを歴任している。円満寺は延暦13(794)年の創建といわれており、毎年2月の節分会などで地域住民に親しまれている。
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