吉野町市民プラザで5月5日に10回目の落語会を行う 立川 志の八さん 37歳
肌で感じた師匠のこだわり
○…2年前から吉野町市民プラザで落語会を行う。「お客さんが本当に温かい」と初めてのネタを披露する場としても吉野町が拠点になっている。今回は記念の10回目とあって、立川流の先輩に声をかけ、会場もいつもの倍の200人が入るホールにした。「どれだけ来ていただけるか」と期待と不安が入り混じる。
○…戸塚区で生まれ、小学生のころから父に寄席や落語会に連れて行かれ、寝る前にもカセットテープで落語を聴いた。アルバイトを転々とするなど、将来の方向性が定まらなかった22歳の時、立川志の輔さんの落語を初めて見た。色付きの照明など独特の演出法に「ホールに入った瞬間から落語の基準をひっくり返された」。噺の面白さはもちろん「心におみやげを持たせてくれる」と感じる、名作映画を見た後のような余韻がいつまでも残った。決意を新たに志の輔さんの門を叩いたのは25歳だった。
○…落語界は師匠が絶対的存在。前座時代は師匠のことだけを考え、「自分の物差しをへし折り、師匠の物差しで行動した」。お茶の濃さ、熱さに始まり、高座の高さ、座布団の角度…。志の輔さんの”こだわり”を肌で感じた。師匠の妥協なき姿勢は、いかに良い状態で落語を聴いてもらうかを突き詰めた結果でもある。そんな師匠に稽古をつけてもらうと「いつもボロボロに言われる。褒めてくれたのは10年で1回くらい」という。2009年に二ツ目に昇進。ホールの手配、落語会の案内などを自分でこなさなければならないが「こんな幸せなことはない」と喜びを噛み締める毎日だ。
○…「師匠と違ってこだわりが何もない」と笑うが、今は1月に生まれた子どもと遊ぶのが楽しみ。「いつか、プラネタリウムで落語をやってみたい」と師匠のようなホール全体を使った演出を夢に見ている。「談志、志の輔が敷いてくれたレールを自分の乗り物でどう走るか」。真打ちを目指し、試行錯誤の日々が続く。
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