9月16日から例大祭を行うお三の宮日枝神社の宮司 角井 瑞(かくいみずほ)さん 山王町勤務 41歳
伝統守る使命と新たな挑戦
○…横浜の歴史には欠かせない吉田新田の埋め立て。新田の鎮守として創建され、300年以上の歴史を持つ神社の13代目宮司として、目前に迫った例大祭の準備に追われる。今年は2年に1度の本祭り。30以上の町内会から神輿が出て、イセザキモールなどを練り歩く大規模な祭りのため、行政や警察との打ち合わせも多い。「夏から準備している」と引き締まった表情。
○…一昨年3月、急逝した父に代わって宮司に就いた。突然のことだっただけに、秋の例大祭の中止も考えた。しかし、氏子や地域からの要望は強く、開催に踏み切る。その祭りの儀式の際には「神様を身近に感じた」という。今年3月の震災では、とうろうが倒れるなど、神社も大きな被害を受けた。本祭りを行えるのか―再び訪れた試練に立ち向かわせてくれたのは、やはり地域の声だった。「伝統を守ってほしい」。今回は被災地復興を願うのぼり旗が神輿とともに町内を練り歩く予定だ。
○…子どものころから神社の仕事を手伝っていたものの、父からは宮司を継ぐことは何も言われなかった。「英才教育なんて受けていなかった」と笑う。大学で神道を学び、卒業後は赤坂の日枝神社で下積みから6年半、勉強を続けた。お三の宮に戻り、「寡黙だった」という父の背中を見て、仕事を覚えた。宮司になって2年。「祈祷した方から『すがすがしい気分になりました』と言われることが嬉しい」と白い歯を見せる。責任の大きさと伝統を守る使命感の中で仕事に臨む。
○…宮司になる前は、テニスやスキーを楽しむスポーツマンだったが、今では隣接する幼稚園の園長も務めており、多忙な日々。休みは息子と公園に出かけるなどして過ごす。神社では、境内の整備など、新しいことにも取り組む。「南区の中で一番良い場所」と自画自賛するお三の宮の境内に、多くの人が集まることを願い、伝統を守りつつ、新しいことへの挑戦を続ける。
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