横浜市は4月9日、「津波からの避難に関するガイドライン」を改訂し、阪東橋駅や区役所周辺など、南区の一部を避難対象区域とした。南区にも津波が及ぶという県の新たな予測に基づくもので、避難対象に南区が含まれたのはこれが初めて。区役所では、避難施設の確保などを進めていく方針だ。
市は昨年8月、東日本大震災を受け、ガイドラインを策定した。当時、モデルになったのは1703年の「元禄型関東地震」で、津波の高さは最大3・4mとされた。これに基づく避難対象区域は鶴見、神奈川、西、中、金沢、磯子の沿岸6区のみで、南区は含まれていなかった。
しかし、3月に県が1605年の「慶長型地震」をモデルにした新たな予測を公表。最大波高は4・9mとなり、津波被害が及ぶ地域が南区を含む範囲に拡大された。これを受け、市が独自に津波による浸水の検証を行い、ガイドラインの見直し作業を進めてきた。
最大1・2m
県は、沿岸6区以外に南区と保土ケ谷区の一部にも津波被害が及ぶと予測。南区では、関内方面の中区と接する部分から吉野町駅付近まで、吉田新田のほとんどの範囲が避難区域となった。市の独自検証では津波が大岡川を遡上し、南区役所そばまで浸水する可能性があるとした。また、堀割川周辺でも同様に浸水の可能性を指摘した。これらの地域で浸水する水位は最大で1・2mとされている。
これまで、津波が来た際の避難施設として、南区では南吉田小学校が唯一、指定されていた。今回の改訂で同小学校が浸水する可能性があることが分かった。災害対策を管轄する南区役所総務課では「南吉田小以外に避難場所を設けることを考えたい」としている。
新庁舎建設にも影響
災害時には南区総合庁舎が災害対策本部となる。現在の区庁舎は耐震性に問題があり、今年度から補強工事が行われるが、地震だけではなく、津波被害も想定しなければならなくなった。
区庁舎は浦舟町への移転が決まっているが、移転地付近も浸水の可能性がある。南区と同じように庁舎移転を3年後に控える金沢区では、現庁舎で地下にある機械室を新庁舎では上層階に設置するなど、津波を想定した設計にしていく考え。現在行われている南区新庁舎の設計でも同様の対策が検討される見込み。
避難施設確保へ
区では、今回のガイドライン改訂で南区にも津波避難区域が広がったことを4月20日の連合町内会長連絡協議会で伝えた。今後も自治会・町内会などと連携し、避難施設の確保や避難訓練の実施を進めていく構えだ。
ガイドラインの詳細は市ホームページに掲載されている。
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