発足30年を迎えた六ツ川大池囃子の代表として演奏を続ける 君田 尚一さん 六ツ川在住 51歳
歴史受け継ぎ、進化見せる
○…明治時代に起源がある六ツ川のお囃子。1960年ごろを最後に休止していた祭囃子が復活して30年。発足2年後に入会し、代表を25年間務める。「サーフィン、バンドと何をやっても長続きしなかったのに、お囃子だけは続いた。性に合っていたのかな」と笑顔で頭をかく。週1回の稽古を欠かさない子ども8人と大人12人の会員を率い、今では南区を代表するお囃子団体になった。
○…先に会員になっていた知人に声を掛けられて初めて稽古に参加した。「太鼓の音が気持ちいいと感じた」。太鼓の中心のごくわずかな場所を打った時にだけ響く”いい音”。今でも「10回打って1回くらい」というその音の魅力と演奏後の充実感を求め、気が付けばのめり込んでいた。太鼓や笛など、5人1組で演奏することが多く、「同じ曲でも人の組み合わせで演奏が変わる。何年続けていても飽きない」と常に盛り上げ方を考えている。
○…お囃子に欠かせない獅子舞の踊りを覚えようと、師匠の動きを何度も見て、自分のものにした。正月は町内の家を回り、獅子舞を披露するのが恒例。ある家では、亡くなった母親の写真を抱きながら待つ人がいた。「毎年、獅子舞を楽しみにしてくれていたのでは」と思うと、地域の中で続く活動の重みを感じる。「最初はお囃子を伝承しようと思っていたが、庶民芸能なのだから、時代に応じて演奏技術は変化していい」とした上で「それでも、六ツ川大池にお囃子が続いてきたという精神は伝えたい」と指導に力が入る。
○…10歳から六ツ川に住む。今も働く父と学生服を中心とした縫製業を営む。「モノを正確に作りたい」と寸分違わぬ裁断にこだわる姿勢に職人らしさがにじむ。「お囃子でご飯が食べられたらいいのに」と笑った直後、「もっとお囃子を知ってもらい、この地に根付かせたい」と一転、真剣な表情。伝統芸能を守りながら、進化も見せていく。
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