母乳育児支援コラム12 抱いて、見つめて、話しかけて 保健師 朝倉 きみ子〈健康な一生を送るために〉
いつの時代にも赤ちゃんにおっぱいをあげているお母さんの姿は平和の象徴です。お母さんと赤ちゃんが授乳の時に過ごす数分間は、日常の喧騒を忘れさせ、ほっとする憩いの時。おっぱいは赤ちゃんのおなかをいっぱいにするだけではなく、母と子が精神的、肉体的にもほっとして心の交流を図っている貴重なひと時でもあるのです。
ところが、最近ではスマホなどを操作しながら授乳しているお母さんを見かけることがあります。こんな時、赤ちゃんは乳首を噛むことがあります。お母さんに集中してくれるように伝えているのだと思います。ゆったりとした気持ちで赤ちゃんの目を見て対話をしながら授乳し、この時間を楽しんでほしいと思います。
授乳で苦労忘れる
赤ちゃんを抱きしめ、おっぱいを与える時間は日常の苦労を忘れられることでしょう。おっぱいが十分出ないお母さんでもミルクの力を借りながら、しっかり抱っこして授乳しましょう。
赤ちゃんはその間、お母さんの胸に抱かれている原体験として一生忘れることのない愛情、安心感、庇護の実感を覚えます。これが人間の愛の根源となります。それが優しく人をいたわる心を芽生えさせ、さらに人類愛に育っていくものであることを再認識したいものです。
水中出産を世界に紹介した先駆的なフランス人産婦人科医師のミシェル・オダン博士はこう語っています。
「ひとりの人間が健康な一生を送るための基礎を胎児や赤ん坊の時に築きあげることは、人間のどの遺伝子がどの病気にかかりやすいかというような知識を得ることよりもはるかに大切なことだ」
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