中村地区にある中村小、石川小、平楽中の3地域防災拠点の訓練が9月21日、同時に行われた。大規模災害時に避難場所となる防災拠点間の連携強化を目的にしたもの。複数の地域防災拠点が連携目的で同時に訓練を行うのは南区内で初めてで、防災用の無線機を使った拠点間の通信など、実践を意識した内容だった。
地域防災拠点は、震災による家屋倒壊などで、自宅での生活が困難な時に避難生活をする場所。南区内は小中学校25カ所が地域ごとに指定されている。各拠点では、地域住民による運営委員会が中心になって年1回、訓練を行っている。
中村地区の住民は、住む場所によって、防災拠点が中村小、石川小、平楽中の3カ所に分かれる。各拠点は例年、2月から3月の異なる日に訓練を行っていた。しかし、災害時は各拠点が同時に開設されるため、3拠点の責任者らは訓練を同時に行った方がより実践的なものになると判断した。
訓練では、これまでと同じような、避難者の受け入れや仮設トイレの設置などを行いながら、防災用のデジタル移動無線機を使い、拠点間の受発信を試した。災害対策を所管する区危機管理担当によると、これまで、拠点と災害時に対策本部となる区役所との間で通信訓練はしていたが、拠点同士で行うのは初めて。
中村小拠点では、職員室内にある機械を住民がマニュアルを見ながら操作し、区役所と石川小、平楽中の両拠点に連絡し、現在の状況などを伝えようとした。区役所、石川小との間ではスムーズに通信できたが、平楽中には相手側の無線機の設定ミスにより、つながらなかった。
「失敗も収穫」
中村地区連合町内会の吉井肇会長(平楽中地域防災拠点運営委員長)は「無線がつながらないなど、失敗や課題が分かったことが収穫だった」と実践的な訓練によって初めて得たものが大きかったと強調する。
同担当は「災害時、中村小には横浜橋通商店街の買物客などが避難することも予想される。場合によってはあふれた人を石川小、平楽中の両拠点で受け入れることも考えられるので、拠点間の連絡が必要になる」と今回の訓練で連携意識が高まることを期待する。
範囲が一致
中村地区は連合町内会の範囲と3拠点の地域が重なり、日ごろの町内会活動で運営委員らが顔を合わせることが多かったため、同日訓練がスムーズに実現できた。しかし、区内には連合町内会と防災拠点の範囲が一致しない地域が多く、現時点で同様の訓練は予定されていない。同担当は「共助の基礎となる自治会・町内会単位の訓練も重要」と話し、地域の実情に応じた訓練や連携のあり方を考えるべきだとしていた。
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