10月19日の区民柔道大会を行った「南区柔道錬成会」の会長を務める 岩本 誠治さん 60歳
船上と畳上の「キャプテン」
○…約170人が参加した「区民柔道大会」。主管団体のトップを2005年から務める。大会では、錬成会所属の選手3人が優勝。11人が表彰台に立った。「新しい稽古を取り入れるなどし、柔道に必要な体作りがうまくいっている」と練習の成果が結果として現れたことを喜ぶ。
○…広島県で生まれる。父が海運業を営んでおり、幼いころから船長になる夢を持った。「父が大好きだった」と船乗りの大きな背中を見て育ち、父と一緒に働くことに憧れる。「控え目な性格だった」という小学生のころ、中学生柔道部の稽古を見て「自分も強くなれるのかな」と考える。中学校で柔道を始め、親戚がいる海老名市の学校に転校後、高校は柔道の名門として知られる日大藤沢高に入学した。「道場に入るのが嫌になるくらい練習漬けだった。1日何時間やったか分からない」。早朝と放課後の厳しい稽古を終えた後、大和市の道場に通って体をいじめ、関東大会に出場するなどの実績を残した。
○…卒業後は貨物船に乗り、21歳の若さで3000トン鋼船の船長になる。29歳で結婚。住まいは横浜にあったが「船乗りはたいてい船上で生活するから」と自宅に戻れることはあまりなかったという。90年に会社を設立。船舶管理やクルージング計画などを行う「海のエキスパート」として、多忙な日々を送る。
○…仕事で全国を回る中、各地にある道場の練習に飛び入り参加して柔道は継続した。日大藤沢高の後輩に誘われ、約30年前から錬成会の練習に参加。現在は蒔田コミュニティハウス内で週3回、大人子どもと一緒に汗を流す。休日は所有する船のメンテナンスや釣りに出掛け、夜には横浜高校柔道部の練習に参加することも。「柔道で人に対する優しさ、礼儀を伝え、子どもたちが長く続けることで競技の裾野を広げたい」。船上と畳上の『キャプテン』が描く夢への航路は、まだ道半ばだ。
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