〈連載〉さすらいヨコハマ⑦ あれから20年 大衆文化評論家 指田 文夫
今から20年前の1995年1月17日、阪神淡路大震災が起きた。そして、それから約2カ月後の3月20日。私は歌舞伎座で、十五代目片岡仁左衛門襲名披露公演『菅原伝授手習鑑』の「道明寺」を見ていた。
「車曳き」や「寺子屋」などと違い、あまり上演されない演目で初めて見たことと、菅原道真公の本物と木像が入れ替わる不思議な芝居なので、夢見心地で劇場の外に出た。しかし、そこは何か落ち着かない感じで、電気店のテレビを皆が一心に見ていた。CNNが「ライク・ア・サイエンス・フィクション・フィルム」と言ったように、防護服の隊員が地下道を消毒していた。その時はまだ事件、事故とも不明だったが、家に戻ると、地下鉄に猛毒「サリン」がまかれた事件だと分かった。
そして、4月の統一地方選挙。東京で青島幸男、大阪では横山ノックの2人が知事に当選した。その2人も、もういない。
(文中敬称略)
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