睦町クリニックの院長で3月28日に在宅医療の仕組みなどについて講演する 朝比奈 完さん 吉野町在住 64歳
在宅医療の最前線を走る
○…必要性が高まる在宅医療の仕組みと現状を公開講座で解説する。変化する病院の機能が地域で十分に周知されていないという現在、「入院する患者さんの中には退院して家に帰ることに不安を感じる人もいる。その人に『大丈夫だ』とメッセージを送りたい」と力強い眼差しで話す。
○…和歌山県出身。外科医だった父の病院は地元住民の大半が利用する場所だった。診療に追われ、家族の時間を作れずにいた父を見て「絶対に医者にはならないと思った」という。理系科目が好きだった中学時代、運動は苦手だったが「身長が伸びると言われて」とバレーボール部に入った。「全く伸びずに散々だった」と苦笑する。
○…受験を控えた高校3年の時、教師を目指していたが「教諭から『どうして医師にならないんだ』と言われて選択肢がなかった」と煮え切らない気持ちで医科大を受験。浪人して2年後に入学した。受験時から一転し「始めるとハマってしまう」という実直な性格で「大学に入って以降、手を抜いたことがない」と胸を張る。卒業後は大学病院の医師として全国各地で地域医療を学んだ。「地方は患者さんの受け皿が少なく、医師が必要とされていると強く感じた」という。都内の病院で院長だった時、住宅地で独居生活を送る高齢者の中に近くに病院がなく、医師の診療が受けられない人がいることを知った。その後すぐに「こちらから出向く医療が必要」と訪問診療をスタート。横浜で単身赴任する現在も患者に寄り添うスタイルは変わらない。
○…「ゴルフもテニスも下手で仲間に入れなかったから」と50代でジョギングを始めた。早朝10Kmのランニングは日課で、月に一度は自ら立ち上げた『完爽海(かんそうかい)』の仲間と一緒に地域を走る。横浜マラソンを3時間台で走破し「沿道の仲間の応援が力になった」と笑顔。自慢の体力と患者と向き合う心を大切に、在宅医療の最前線を走り続ける。
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