70年前の1945年5月29日に発生し、南区も大きな被害を受けた「横浜大空襲」を語り継ごうと、横浜商業高校の生徒が中心となった団体、「NGOグローカリー」が今年度発足した。空襲の傷跡が残る場所を歩き、体験者の話を聞きながら調査・報告を進め、平和について考える取り組みを行っている。
4月に発足した「NGOグローカリー」は、昨年度まで横浜商業高校の部活動だった「グローカリー部」の意思を受け継ぐ生徒らの有志グループ。同部の顧問だった鈴木晶教諭の異動により、部活動としての存続が難しくなり設立した。
18人のメンバーはすべてY校生で、現在は鶴見区の高校に勤務する鈴木教諭が引き続き指導にあたる。身近な史跡などから世界につながる歴史を学んでおり、横浜大空襲の傷跡が残る場所を歩く「フィールドワーク」などを実践する。
メンバーの横溝紗楽さん(2年)は、「南区には山門が焦げているお寺などもあった」と話す。空襲被害が大きかったとされる西中町の普門院や八幡町の中村八幡宮では、高熱にさらされて割れた石碑などを間近で見た。学校周辺に複数の”空襲の傷跡”が残ることに驚いているという。
また、同校がある南太田2丁目には、米軍機が墜落・炎上した記録があり、周辺住民への聞き込みなどを行う「南太田2丁目プロジェクト」を3年前に立ち上げた。現在はマンションが建っている場所に墜落したという情報もあり、今後も調査・報告を進めていく。
先輩・保護者と交流
阿部咲桜里さん(3年)は、「さまざまな意見を聞くことで過去を知り、若い世代に伝えることが大切」と話す。5月31日には、世代を超えて戦争と平和について考えるシンポジウムに参加するほか、保護者らが集まる「おやじの会」との合同フィールドワークを6月に実施。Y校OBの大学生とも交流するなど、さまざまな世代と戦争や平和について話し合いたいという。
リーダーの倉本大夢君(同)は「自分たちの活動を見た人が『考えよう』という一歩を踏み出してくれたら」と若者世代への”連鎖反応”を願う。鈴木教諭は「なぜ戦争が起きたのかを考えてほしい。『百聞は一見にしかず』の精神で、現場で学ぶことを大切にしてもらいたい」と語る。
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