日本人と労働【4】 「LABOUR」「WORK」どっち? 元全日本労働総同盟 国際局長 相原正雄
国内の労使関係構築に力を注いだ井土ヶ谷下町在住の相原正雄さん(83)による月に1度のコラムです。自身の体験で感じたこと、伝えたいことを掲載します。
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明治から昭和にかけて海底炭鉱によって栄えた場所で、日本の産業革命遺産とされる長崎県の端島(通称:軍艦島)が今年、世界文化遺産に登録されましたが、登録にあたり、韓国が猛反対しました。第二次世界大戦当時、軍艦島で朝鮮人が日本に徴用され、強制的に働かされていたからです。韓国は強制的な労働が行われた場所は世界遺産にふさわしくないと主張しました。
当時、韓国の人は日本国民でしたから、戦時徴用令で国民全員が動員され、軍需工場などで働きました。世界遺産登録にあたり、そこに強制的労働があった文言を入れることについて韓国は強制的「LABOUR」(レイバー)を主張。日本はILO条約の文言と同じ”強制LABOUR”を入れることに反対し、労働のもう一つの言葉「WORK」(ワーク)を提案しました。
言葉は似ていますが、前者は”苦役”や”命令されて行うこと”と、後者は”やりがい”を伴い、”自らすすんでやること”というニュアンスを含みます。「LABOUR」か「WORK」か、最後まで揉めましたが、韓国側はWORKの中にLABOURの意味があるとして妥協し、世界遺産に登録されました。私はこの話を聞いて言葉がいかに大切であるのか実感しました。
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