日本人と労働【7】 日本の雇用制度は後進的? 元全日本労働総同盟 国際局長 相原正雄
国内の労使関係構築に力を注いだ井土ヶ谷下町在住の相原正雄さん(84)による月に1度のコラムです。
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「同一労働同一賃金」が新聞に出ています。同じ労働なら同じ賃金をという正規・非正規労働者の賃金格差圧縮のスローガンに使われているようです。
格差圧縮は大事なことですが、実は日本では「同一労働同一賃金」は存在していません。同じ仕事をしても、年功序列や家族手当などで年配の人と若い人の賃金には差があります。
日本では賃金は仕事でなく「人」に支払われているのです。西欧の労働組合は仕事別に作られていますが、日本は会社別です。日本の会社は若い人を採用して社内で教育訓練し、技能の向上を評価します。年功とともに賃金が上がっていく仕組みです。優秀な人材は会社に留まってもらい、定年まで勤めれば退職金が支払われます。長期雇用は技術の伝承・蓄積を可能とし、仲間意識と愛社心を生みます。会社を退社しても退職組合に所属して絆を大切にしています。
約40年前、OECD(経済協力開発機構)の会議で日本の雇用制度・労使関係が人間の自由を束縛する後進的なものであると指摘されました。私は、雇用制度はそれぞれの国の歴史、文化が反映されたもので後進性の批判は当たらないと反論しました。英・独労組の国際局長が私の意見に賛同し、支持してくれたことが忘れられません。
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