日本人と労働【9】 生産性向上は「人」中心に 元全日本労働総同盟 国際局長 相原正雄
国内の労使関係構築に力を注いだ井土ヶ谷下町在住の相原正雄さん(84)による月に1度のコラムです。
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労働生産性という言葉が注目されています。投入した労働量に対してどのくらいの生産量が得られたかを表す指標とされるものですが、今はどれだけの付加価値が生まれたのか、すなわち物が生産され、消費されたのか、国の経済活動を見る指標となっています。
生産性向上のために重要なものは3つあると考えます。一つは労働現場の環境改善・維持を行って労働者の雇用を守ること、二つ目に経営者が従業員に成果を配分すること、三つ目に労働者と使用者が協議を行うことです。ILOの戦後の基本方針となったフィラデルフィア宣言においても、労使が協議することが盛り込まれています。
日本は戦後、労使対立の争議が続発しましたが、1955年に日本生産性本部が設立すると、労使一体となった生産性運動が推進。世間に生産性という言葉が広がっていきました。
「生産性=効率化」という考えは間違った認識です。24時間働くロボットを使うと作業効率は上がるかも知れませんが、ロボットは生産した「モノ」を消費しません。モノを消費して経済を動かすのは「ヒト」です。雇用を守り、使用者が労働者に賃金で還元するという人を中心にした考えが、生産性向上につながります。
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