生活や福祉に関する地域の身近な相談相手として行政とのパイプ役などの役割を担う民生委員が12月1日に全国一斉改選される。市内では定数4156に対し、委嘱予定人数が3921人で235人の不足となる見込みだ。市は「委員の負担増や認知度の低さ」を原因の一つとし、広報強化に取り組む。
2017年に制度創設100周年を迎える民生委員は、厚労省から委嘱される特別職の地方公務員で、児童委員も兼ねている。市では200〜440世帯に1人を基準に配置している。
急速な高齢化や単身世帯の増加などへの対応により期待が年々高まる一方、高齢者など対象者の増加に伴い、民生委員の業務量は増えている。こうした要因から、民生委員は全国的に人手不足が常態化しており、横浜市も例外ではない。
3年に1度の全国一斉改選を12月1日に控え、横浜市内では定数4156に対して235人の不足見込みとなる。前回の一斉改選では、定数4118に対して202人が、10年では4029に対して145人が不足していた。人口増加に比例して定数が増えている現状はあるが、改選を重ねるごとに欠員が増えている。
地区ごとの状況を見ると、市内18区で改選前に定数を満たしているのは栄、泉の2区のみ(16年7月1日現在)。南区は定数280に対し270人で、10人の不足見込みとなる。南区民生委員児童委員協議会の大竹多喜男会長は「民生委員は女性が多い。『働く女性』の増加もあり、活動時間を割くことができないという人も増えている」と話す。
必要支援に支障も
民生委員の任期は1期3年。横浜市では年齢の上限を新任・再任ともに、74歳までとしているが、60代・70代が約8割を占めているのが現状で、75歳の定年を迎える委員などの比率は全体の約25%にも上る。
地域での欠員は、隣接する地区の民生委員への負担が増えることを意味し、困りごとの発見や解決のための関係機関との連携など、必要な支援に遅れが生じるなどの問題を引き起こす可能性が指摘されている。また、負担増はさらなる不足を生む構造ともなっている。
市担当者は「人手不足は、活動内容の理解度の低さも要因の一つ」とし、活動内容などを紹介するパンフレット作成などの”知ってもらう”取り組みを強化する。今後は、「地域で孤立させないよう、委員の活動を支援できる体制を作りたい」と話している。
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