母乳育児支援コラム 33 抱いて、見つめて、話しかけて 保健師 朝倉 きみ子〈子どものいのちと向き合って〉
今回は育児の会OGの方のエッセイを紹介します。
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11カ月。呼吸状態が悪くやっと息をしている。熱は42度。寝返りもできず、目も開けられず、泣き声も弱くぐったり。全てのエネルギーを呼吸とおっぱいにだけ注いでいるという状態でした。酸素のチューブ、点滴、体中にさまざまなモニターが取り付けられていました。子どもは弱い泣き声で私を呼んでは必死でおっぱいを吸っていました。抱きしめながら、ベッドの中で私は泣いていました。その時、目も開けられず、手足も動かせずにぐったりしていた子どもがすぅーっと手を伸ばして私の頬をさすってくれたのです。小さな手はとっても温かくて優しさに溢れていました。「あ〜、生きている!頑張って生きようとしている!」この時わが子の「いのち」を感じました。
おっぱいを懸命に吸い、少しずつ良くなっていく子どもを見て、医療器具や薬に頼っては治らないと感じ、おっぱいってすごい!おっぱいがこの子の生きる力になっていたんだ!おっぱいで私と子どもは「いのち」を分け合っている!と強く感じました。「おっぱい」と「この子の生きる力」をもっと信じようと思いました。
この時からもっとすてきなおっぱいを出そう、もっと生きていることを楽しもう、そして子どもと「いのち=おっぱい」を分け合う時間を大切にしようと思うようになったのです。
育児中は悩みや不安がたくさん出てくるけど、悩んで頭が爆発しそうになったら「今この瞬間子どもも私も生きている。それだけで十分幸せじゃない!生きているだけでOK!」と思うようにしています。2歳の息子と「いのち」を分け合いながら毎日私らしいおっぱい育児を楽しんでいます。
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おっぱいはおかあさんと子どもの「いのち」を育み、「いのち」をつなぎ続ける「いのちの源」なのです。おっぱいは宝物です。
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