2012年の幕明けにあたり、本紙では南区の青井恒夫区長にインタビューを行い、昨年の振り返りと今年の重点事業などについて話を聞いた。青井区長は昨年3月に発生した東日本大震災を受け、災害対策により力を入れていく意向を示した。(聞き手/本紙編集長・門馬 康二)
――まず、昨年の事業全体を振り返っての感想をお聞かせください。
「各事業は順調に推移しています。これまでも災害対策を進めてきましたが、震災があったことにより、災害対策事業に対する理解が進んだ感じがします」
強い仲間意識
――東日本大震災を受けてどのようなことを感じられましたか。
「天災に対してどうすべきかを考えさせられました。ハードを整えることも大切ですが、『逃げる』という考え方が必要だと思いました。健民祭や地域のお祭りに参加すると、前年より地域の仲間意識が強くなっていると感じ、絆の大切さを改めて知りました」
――これまでも南区は災害対策事業に力を入れてきましたが、それをどのように評価されますか。
「南区は木造住宅が多く、地震に対して弱いまちです。以前から災害対策として、災害時の要援護者支援事業と住宅の耐震向上事業に取り組んできました。要援護者の名簿作りは8割近い町内会に取り組んでいただいています。震災を経て、隣近所を見守るという意識が強くなったと思います。防災ベッドの購入・設置費用の一部補助は、値段が高いこともあり、利用者が少なく、見直しが必要です。昨年も行った高齢者宅の家具転倒防止器具の設置補助は引き続き行いたいです」
――市は子育て支援に力を入れていますが、南区の取り組みはいかがでしたか。
「子育て支援策として、親子の居場所を設け、合計8ヵ所となりましたた。各連合町内会で1ヵ所と思っていましたが、2ヵ所目を設ける動きもあります。父親の子育て講座も参加者が多かったです」
――南区ではほかの区に先駆け、自殺予防対策に取り組んでいました。
「『気づき』と『つなぎ』をキーワードにしています。『つなぎ』として、ケアプラザや医師会などとの連携を強化し、自殺を未然に防ぐ体制を作っています。最新の数字では、南区の人口に対する自殺率が低下したというデータもあります」
実践的な防災訓練
――今年、どのような事業に取り組んでいきますか。
「実践的な防災訓練の実施など、災害対策をさらに充実させたいです。地域防災拠点にある資機材の取扱方法を身に付けた人に交付する『防災ライセンス』は、講習を受ければ資格を得られますが、実際に機材を使えない方もいるので、そうした方へ向けた講習を行いたいです。また、大震災の時は、揺れが大きく、一時、区庁舎から避難せざるを得ない状況でした。建物の柱の一部を補強する工事が来年度から始まります」
――今年は施設の新設がありますね。
「3月に別所コミュニティハウスが完成します。また、蒔田駅のエレベーターも完成します」
――横浜市が神奈川県から独立した「特別自治市」を目指すなど、大都市制度や住民自治のあり方が注目されています。
「簡単ではありませんが、区民の方が自分たちでいろいろなことを決めていくという雰囲気を育てていかなければと思います」
――区民の皆さんにメッセージをお願いします。
「隣を気遣いながら、子どもからお年寄りまで顔見知りになるような、さらにあったかい南区を作っていきましょう」
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