南消防団の団長として南区の安全を守る活動を続ける 河野 正敏さん 井土ヶ谷下町在住 64歳
感謝を忘れず地域に恩返し
○…南区内で282人が活動する団のトップに4月に就任。放水など、日ごろの訓練の成果を発揮する訓練会を8日に終えた。「各分団で行われている訓練の内容を統一化するためにも大切な行事」と語る。
○…1975年、水道工事の仕事をしていた父が54歳の若さで他界。葬儀の際、家の近くの狭い路地に霊柩車が入れるように交通整理をしてくれたのが近所の消防団員だった。「ここまでしてくれるのかと恩義を感じた」。5年後、大岡消防団に入った。当時は今よりも火災が多く、夜中に現場に急行することも。「10年くらいやってようやく一通りのことが分かった」。その後は団の幹部としてまとめ役を務める。2年前、寿消防団と統合して南消防団ができた際には副団長に。団長には各団員の出動記録が届くが、それを丹念にチェックすることを忘れない。「目立たなくても頑張ってくれる人は評価したい」と気配りを大切にしている。
○…団員の高齢化も進み、なり手が不足する現状。子どものうちから団の存在を知ってもらうことが必要と考え、出身校である井土ヶ谷小では、「将来、どこに住んでもいいから、消防団に入ってほしい」と児童に訴え、会長を務める町内会では、防災訓練に子どもの参加を呼びかける。「将来、消防団に入ったという報告があったらいいね」と笑顔を見せる。
○…高校卒業後から父の水道工事の仕事を手伝った。トイレの大半が汲み取り式の時代。「自分が生きているうちに水洗式が完備されるとは思わなかった」と苦笑い。今でも水道管の修理などで現場を回る。解禁日にアユ釣りに行くほどの釣り好き。最近は遠ざかっているのが残念そう。今後も「地域で商売をしているのだから恩返ししなければ」と団の活動に励む。23歳の息子を自らが定年の70歳までに団に入れたいと密かに思っている。火事場のヒーロー役は「恩返し」の気持ちをつないでいく。
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