横浜市がこのほど発表した地震被害想定で、震度6強から7の最大規模の地震の場合、南区内で建物全体の27%にあたる約1万2千棟が全壊か半壊するとし、倒壊によって271人の死者が出るとされた。これを受け、南区役所では、以前から取り組んできた「減災」により力を入れていく方針だ。
今回の想定は、昨年の東日本大震災を受け、専門家らが議論を行い、7年ぶりに見直されたもの。
これまでは、首都直下地震や東海地震を中心に想定されてきたが、可能性の範囲を広げ、1703年に発生し、関東全域に大きな被害を及ぼした元禄型関東地震も想定に入れた。
この地震の規模はマグニチュード8・1で、市内の広範囲が震度6強以上の揺れとなり、沿岸部や南区の一部は震度7となる。
約1割は全壊
想定では、南区内にある4万7218棟の建物のうち、この規模の地震で1割近い4036棟が全壊するとし、半壊も含めると、約27%の1万2667棟に被害が出るとされた。市内全体の被害は13万7100棟で、南区の被害は最少の青葉区(1129棟)の10倍以上で、18区で最も多い。
午前5時に発生した場合、建物の倒壊で市内全体で2235人の死者が出ると予測された。南区内では死者271人、負傷者2020人の被害が出る。
補助利用、伸び悩み
古い木造住宅が多いことから、南区役所は以前から耐震工事費の補助事業など、災害の被害を最小限にとどめる区独自の「減災」に取り組んでいる。
一昨年から耐震シェルターの購入費用の一部補助を始めた。しかし、購入には数十万円が必要なことから、利用が伸び悩んでいた。そのため、今年9月からは、高齢者の単身世帯などを対象に家具倒防止器具の購入費やガラス飛散防止フィルムの設置費を補助するなど、低費用でも行える制度を取り入れた。それでも、転倒防止器具購入の補助申請は9、10月で約30件と予想を下回り、受付期間を1カ月延長している。
南区総務課では「補助制度をもっと浸透させたい。同時に、地震でも火災が起きないよう、ブレーカーを落としてもらうことの呼びかけや消防団などの地域防災組織の支援を行い、防災対策をこれまで以上に進めたい」としている。
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