睦町1丁目の光勝(こうしょう)寺(高藤英夫住職=人物風土記で紹介=)に8月17日、釣鐘と門が一体となった「鐘楼(しょうろう)門」が完成した。南区内の寺で鐘楼門を構えるのは同寺が初めてで、市内でも珍しい。チャペルに使用されていた鐘を溶かして釣鐘を新調するなど、門には工夫した取り組みが詰まっている。
同寺は明治初期に現在の場所に作られた。当時、新潟・長岡から横浜に出る人が多く、その人たちのために寺も長岡から移転。関東大震災や横浜大空襲で火災に遭いながらも何度か建て直されてきた。
同寺は住宅街にあり、本堂も奥まった場所で入口に大きな門がなかった。そのため、お参りに来た人が寺の存在を気付かずに通り過ぎてしまったことが多かったという。そこで、入口となる門を新設するのと同時に釣鐘を作り、鐘楼門を設けることを考えた。
これまで、同寺には小ぶりな半鐘はあったものの、大きな釣鐘はなかった。閉館した島根県の美術館内にあったチャペルで使われていた鐘を高藤住職が入手。専門業者に依頼し、同寺の割れてしまった半鐘などと一緒に溶かし、口径54cm、高さ103cm、重さ200kgの釣鐘が完成した。
7月下旬から工事を開始。門に使用した木は、橋に使うための部材を利用した。門を含めた建物は全体で高さ6m、幅5・7mで、外から見て一目で入口と分かるようになった。
「寺だと分かりやすい」
一般的に鐘楼門は釣鐘を設置するスペースが敷地内に少ない寺に設けられることが多い。高藤住職によると、鐘楼門は南区内の寺ではほかになく、横浜市内でも港北区に1カ所あるだけだという。
17日には、檀家らを招いて法要を行い、完成した門を披露した。檀家の庄川滿さんは「立派な門ができて、雰囲気も良くなり、寺だと分かりやすくなった」と完成を喜んだ。寺の前を通る近所の人も釣鐘を見上げ、「寺らしくなった」と変化に驚いていた。
鐘楼門の完成を機に「若い人が寺へ足を運んでほしい」と願う高藤住職。近隣に家が多いことから、音の問題もあり、鐘を突くことは少ないが、大晦日の除夜の鐘などの際には地域住民に突いてもらいたいという。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|