永田助郷伝承保存連の会長で、江戸時代の伝統行事を現代に伝えている 金子 進治さん 永田北在住 81歳
永田の歴史伝える生き証人
○…1993年の保存連発足メンバーとして助郷の伝承に携わり、2011年から会長として15人のメンバーをまとめる。保存連は江戸時代の荷役制度である「助郷」の存在を後世に伝えるため、2年に1度「北永田ふるさとふれあいまつり」の中で行列を再現しており、今年は10月13日に披露する。「多くの人に見てもらいたい」と話す。
○…東日本大震災があった11年。行列を行うか苦悩した。地域の歴史を伝えねばならないとの思いで、規模を縮小しながらも開催。永田小の校庭で披露した行列に今まで以上の観客が集まり、やって良かったと思ったという。永田地区の歴史を伝えられる人間が少なくなった今、いかに次の世代に助郷を伝承していくかという課題に向き合う。
○…生まれも育ちも永田北。江戸時代から先祖代々この土地に住む。農家に生まれ、10代から仕事を手伝っていた。「畑のある永田から離れることがなく、自分の世界は狭いのでは」と思うことがよくあった。父から「私がいなくなったら、お前はうちの庭の手入れができるのか」と言われて奮起。父を超えようと、40代半ばで狩場の農園に通い、植木職人の勉強を始めた。最初は思い通りにできない上に、先が見えず「1日がとても長く感じた」と振り返る。それでも5、6年続けていると楽しくなり、個人的に仕事を頼まれるようになった。60代になって、植木の仕事を引退しようとしても頼まれると断れず、辞めるのに苦労したという。「手入れしたものには愛着がある。今でも外に出ると植木が気になる」と引退しても職人の顔を見せる。
○…若いころの趣味は、ゴルフや釣り。磯子へよく夜釣りに出かけた。今は庭いじりをして時間を過ごすことが多い。「今でも外に出る時は地下足袋を履いてしまう」と笑う。生き証人として、これからも伝統行事を続けながら、自らの頭と心の中に残る永田の歴史を若い世代に伝えていく。
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