横浜市は9月、現在、市内に5校ある夜間学級を来年4月から蒔田中1校に再編する方針を示した。生徒のコミュニケーション能力育成や学習内容の充実が目的だが、突然の方針表明に市民団体から反対の声が出ている。
市は「義務教育未修了者に中学校教育課程を履修させ、卒業資格を与えること」を目的に、市内5中学校(蒔田、西、仲尾台、鶴見、浦島丘)に夜間学級を設け、現在15人の生徒が通う。そのうち西、浦島丘の2校は現在、生徒がゼロで閉級状態となっており、市教育委員会では、5校を蒔田中1校に再編・統合する考えを9月17日の市会こども青少年・教育委員会で示した。
生徒の大半外国籍
夜間学級は、何らかの理由で義務教育課程を修了しなかった学齢超過者を対象に設置されたもの。しかし、今では義務教育を修了できなかった人よりも、外国籍を持つ人々が、学歴を得るために通う傾向に変化しつつある。現在は、蒔田、仲尾台、鶴見の3校に在籍する15人の生徒のうち10人が外国籍だという。
蒔田中では現在、外国籍の生徒6人を含む8人が夜間学級に通っている。授業時間は午後5時30分から8時10分まで、中学校課程の9教科を学ぶ。指導は昼間の授業も行う教諭9人が教科ごとに兼務している。
生徒数が少なく、外国籍の生徒が大半を占める現状では、日本語理解度による学習習熟度の差や、生徒同士の交流の減少などが課題とされている。市教委はこれらの課題解決のため、交通の利便性などを考慮し、蒔田中に統合する考えだ。統合することで1カ所の生徒数を増やし、コミュニケーション能力の育成、専任教師の配置などを図っていく。また、蒔田中に近い横浜商業高校の敷地内にある「横浜市日本語教室」と連携し、日本語指導を充実させるとしている。
統合反対の声も
こうした動きに対し「神奈川・横浜の夜間中学を考える会」代表で、ボランティアで17年間、鶴見中の夜間学級で指導をしていた三階泰子さんは「長年、専任教諭を置かず、夜間学級の存在を知らせるPRが不足していた。生徒減少の原因を作りながら、生徒が少ないとの理由で1校に統合するのはおかしい。実態調査を先にすべき」と統合に反対している。国勢統計調査に基づく同会の試算では、市内の義務教育未就学者は約2万人にのぼる。PR不足との指摘に市教委は「現在は市、市教委、設置校のホームページで広報している。11月には広報よこはまに掲載を予定しており、区に協力してもらいチラシも作りたい」としている。
蒔田中の木村悦雄校長は「統合によって学級活動や行事の充実など多くのメリットがある。通学に時間がかかる生徒が出てしまうことは心配」と話している。
今後の方針は、10月11日の市教委定例会で決定する予定。三階さんは「もし統合が決定されても、反対の運動は継続する」と話している。
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