女性の活動を支援する施設「フォーラム南太田」に2010年11月に開設された就労体験の場「めぐカフェ」が間もなく開設3年を迎える。人間関係や精神的な悩みなどの理由で生きづらさを感じている女性をカフェ勤務を通して支援してきた。経験者のうち、その後、約4割が就労を果たしており、フォーラムは3年間の就労支援事業に手応えを感じている。
フォーラム南太田を運営する市男女共同参画推進協会は、人間関係の悩みや心身の不調など、何らかの事情で仕事ができなかったり、働けなくなってしまった人を支援しようと、09年から就労準備講座を始めた。
講座の修了生が就職活動に向けた経験を積む場を提供する目的で、10年11月に喫茶店「めぐカフェ」を施設1階に開設。修了生の希望者が勤務を行っている。
喜びの声が自信に
まず、カフェ勤務では、あいさつや身だしなみなどの基本的な姿勢を10日間で身に着ける。その後、20日間、カフェで接客や調理補助などを行っていく。仕事は1日3時間程度。
開設当初は週2日だった営業が、多くの講座修了生が活動できるようになり、現在は月曜から木曜の週4日に拡大された。神奈川産の野菜を使ったスープなどが好評で、利用客からは「おいしい」や「落ち着く場所」などの感想が寄せられ、3年間で地域に愛される存在になった。
カフェでは現在の実習生を含め、これまでに61人が就労体験を行った。
高校時代にいじめを受け、家にひきこもるようになった21歳のAさんは、親の勧めで講座を受け、カフェの仕事を体験。Aさんは「社会人として働く経験がなかったので、人と一緒に働くことができたのは大きな収穫」という。対人関係に自信が持てず、アルバイト先でコミュニケーションがうまくとれなかったという27歳のBさんは「自分を受け入れてもらえる場所ができたことに喜びを感じた」と振り返り、「自分に前向きな意欲があると気付けたことが大きい」と話す。
「次のステップへ」
フォーラムによると、体験を終えた52人うち、約4割はその後、何らかの就労を果たしたという。中にはNPO法人の職員として子どもを支援する仕事をしている人もいる。めぐカフェを担当するフォーラムの新堀由美子さんは「卒業生が飲食店で働くことになったと報告に来た時は、とても嬉しい」と話す。
フォーラムの細野勝館長は「講座修了生が次のステップへ進むための支援になっていると実感している」とカフェでの3年間が成果を残しているという。
課題は就労相談、若者相談機関との連携。「カフェはあくまでも就労体験の場。自立へ踏み出すサポートの確立が重要」と細野館長は話す。今年8月に講座修了生の追跡調査を実施。その結果を踏まえ、新講座の開設を考える。細野館長は「時代によって必要とされる講座は変わってくる。修了生の声を聞き、半歩先のニーズに対応していきたい」とより良い就労支援に向け、動き出している。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|