11月2日の「親と子の合唱祭」で弦楽合奏団の指揮者を務める 木村 茂雄さん 中里在勤 71歳
音楽を介し、福祉の世界へ
○…区民合唱団「ロンド」を1999年に創設、指揮者の顔も持つ。同団から派生した弦楽合奏団「ロンディーノ」が合唱祭で区制70周年を記念し、オーケストラ演奏を披露する。「12曲も編曲するのが大変だった」と話す。また、知的障害者支援センター「あいの木」の理事長を2010年から務め、区内に4カ所にある作業所をまとめる。
○…中区山下町出身。父親が看板描き職人で、弘明寺商店街の店舗の看板をよく描いていたという。音楽との出会いは中学3年の時。授業で見た映画「ビルマの竪琴(たてごと)」の劇中歌「埴生(はにゅう)の宿」に理由も分からず引き込まれた。それから本格的にピアノを習い始め、以降は音楽漬けの日々。音大卒業後、横浜市内の中学校で音楽教諭に。「音楽を窮屈に考える必要はない」と生徒を楽しませることを第一に指導していた。7年の教諭生活を経て、県青少年センターで約30年間、音楽指導職員として働いた。そのころ、南区山谷に3年間住んでいた。「センターへ出勤するのに、平戸桜木道路の渋滞でいつも遅刻していた」と笑う。
○…75年、同センターが行う障害者の集いを見学。最後に参加者全員で炭坑節を歌い、踊るのを見て、音楽の力を肌で感じた。2年後には同センターで障害者を含めた音楽祭を企画し、20年近く続けた。この活動を見た市障害者支援センターから声がかかり、10年前、「あいの木」の運営に携わる。「福祉の仕事の経験はなく不安だったが、思い切って飛び込んでみようと思った」。世間からの偏見と資金面でのやり繰りに悩む日々だったが、苦労を感じたことはないという。
○…スポーツは小さいころから苦手で、趣味も音楽と話す。5年前には、歌と手話の障害者コーラス団も創設。「彼らにもスポットライトを当て、ステージに上げたい」と話す。今後も、みな平等だという信念と、音楽の力で障害者を支援していく。
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